これからエコキュート(電気でお湯を沸かす給湯器)を買うなら、シャワーの勢いが強い「高圧タイプ」を選んでください。お湯をためるタンクの仕組み上、ふつうの機種を選ぶとガスの給湯器より水圧が落ちてしまうからです。
たとえば、ガスからふつうのエコキュートに変えた家では、髪を洗う時にシャンプーの泡を流すのに今までより時間がかかるという不満がよく出ます。高圧タイプを選べば、本体の値段は数万円上がりますが、ガスの時と同じような強いシャワーを毎日使えます。
毎日のお風呂でストレスを感じないために、カタログを見る前に水圧の仕組みや機械の選び方を確かめておきましょう。
エコキュートにするとシャワーの勢いが弱くなる理由
エコキュートに変えるとシャワーの勢いが弱くなるのは、お湯をためるタンクを通す仕組みのせいです。水道からくる強い圧力をそのまま使うガスの給湯器と違い、機械に入る手前でわざと水圧を落とす必要があるからです。
タンクが水道の圧力に耐えられない仕組み
エコキュートは、電気代が安い夜の間に沸かした熱いお湯を、魔法瓶のような巨大なタンクに貯めておきます。このタンクに水道からくる強い水をそのまま入れてしまうと、内側からの圧力に負けてタンクが割れてしまいます。
そのため、水が入る手前の配管に部品(減圧弁)をつけ、水の勢いを半分近くまで落としています。タンクを守るための安全な仕組みですが、結果として蛇口から出るお湯の勢いも弱くなります。シャンプーの泡を素早く流したい人にとって、この水圧の弱さは毎日の不満につながる原因です。
ガスの給湯器と水圧の数値を比べてみる
実際にどれくらい勢いが違うのかを、押し出す力を表すキロパスカルという数字で比べてみます。
| 機器の種類 | 水の勢い(押し出す力) | お湯の出し方 |
|---|---|---|
| ガスの給湯器 | 約500キロパスカル | 水道からそのまま沸かす |
| 標準のエコキュート | 約170キロパスカル | 一度タンクにためる |
| 高圧タイプ | 約290から320キロパスカル | 一度タンクにためる |
標準のエコキュートは、ガスの給湯器と比べて3分の1程度の勢いしかありません。ガスから標準のエコキュートに買い替えた家庭では、シャワーを浴びた時に「お湯がチョロチョロしか出ない」と後悔する失敗がよく起きます。
シャワーの勢いを落としたくないなら高圧の機種を選ぶ
シャワーの勢いをガス給湯器に近い状態に保ちたいなら、各メーカーが販売している高圧の機種を選んでください。お湯をためるタンクの壁を分厚く作り、強い圧力に耐えられるように専用の工夫がされているからです。
各メーカーが出している押し出す力が強いタイプ
パナソニックや三菱など、主要なメーカーは必ず水圧を強くした機種を用意しています。カタログの表紙には「パワフル高圧」や「ハイパワー給湯」といった分かりやすい名前で載っています。
- パナソニック:パワフル高圧(320キロパスカル)
- ダイキン:パワフル高圧(320キロパスカル)
- 三菱電機:ハイパワー給湯(290キロパスカル)
標準のタイプが170キロパスカルのところ、高圧のタイプなら300キロパスカル近い力でお湯を押し出せます。ガスの給湯器とまったく同じ強さにはなりませんが、肌に当たる勢いに物足りなさを感じることはありません。
本体の値段は上がるが毎日のストレスをなくせる
高圧のタイプを選ぶと、標準のものより機械の値段が3万円から5万円ほど高くなります。
しかし、お風呂は毎日使う場所です。少しのお金を惜しんで標準のタイプを買い、これから10年間シャワーの弱さにイライラし続けるのは賢い選択ではありません。家族の中に朝にシャワーを浴びる人や、髪が長くて洗うのに時間がかかる人がいるなら、迷わず高圧のタイプへお金をかけるべきです。
毎日の水道代や電気代を節約できるのがエコキュートの良さですが、使い勝手が悪くなっては意味がありません。初期の投資として数万円を上乗せするだけで、毎日の快適さが約束されます。
2階にお風呂がある家は高圧タイプを選ぶのが必須の条件
家の2階以上にお風呂やシャワー室を作る場合、高圧のタイプを選ぶのは絶対の条件です。お湯を下から上へ持ち上げる時に、重力に逆らうための強い力が必要になるからです。
1階の地面に置いたタンクから2階のお風呂へお湯を送るには、配管の中を約3メートルから4メートルほど上に押し上げなければなりません。水は1メートル上に持ち上げるごとに、約10キロパスカルの圧力を失います。標準のタイプでお湯を持ち上げると、ただでさえ弱い水圧がさらに落ちてしまいます。
3階にお風呂がある家に至っては、標準のタイプではお湯が上まで届かない事態も起きます。家の図面を見る時は、お風呂の階数にあわせて給湯器の押し出す力が足りているかを必ず確かめてください。
もし2階にお風呂があるにもかかわらず、業者が安い標準タイプを見積もりに入れてきた場合は、その担当者の知識不足を疑う必要があります。水回りが上にある家ほど、カタログの中で一番水圧が高い機種を指定して買うのが失敗を防ぐコツです。
今使っているシャワーのヘッドをそのまま使い回せるかの確認
ガスの給湯器からエコキュートへ変える場合、これまで使っていたシャワーのヘッドをそのまま使い回すと、お湯の勢いが極端に落ちるケースがあります。機械の押し出す力が弱くなることに加えて、シャワーヘッドの構造がお湯の流れを邪魔してしまうからです。
とくに注意が必要なのは、ホームセンターなどで買った節水用のシャワーヘッドをつけている家です。
節水タイプは、出ていく水の量をわざと絞ることで水道代を安くする仕組みです。ガスの強い水圧なら問題ありません。しかし、押し出す力が元から弱いエコキュートの標準タイプに節水ヘッドを組み合わせると、お湯がシャワーの穴から押し出されず、ポタポタと垂れるような状態に陥ります。
高圧タイプを選んだ場合でも、相性が悪いシャワーヘッドをそのまま使うと本来の強さを発揮できません。エコキュートへ新しく入れ替えるタイミングで、シャワーのヘッドも機械にあわせたものへ交換するのが確実な手順です。
新しいシャワーヘッドを選ぶ時は、パッケージに「低水圧用」と書かれているものを選んでください。少ないお湯の力でも、中の構造で勢いを強めてから外へ出す仕組みになっています。
最近人気の、細かい泡で汚れを落とす美容用のシャワーヘッド(リファやミラブルなど)を使いたい場合も注意が必要です。これらは内部で泡を作るために強い水圧を必要とします。美容用のヘッドを使う予定があるなら、標準のエコキュートでは機能しないため、必ず一番水圧の高い機種を選んでください。
少しの工夫でお湯の勢いを強くするリモコンの設定
家の中にあるリモコンの設定温度を変えるだけで、シャワーから出るお湯の勢いを今よりも強くできる裏技があります。シャワーの蛇口(サーモスタット水栓)の中で、お湯と水を混ぜ合わせる仕組みをうまく利用する方法です。
シャワーのお湯は、外のタンクから来る熱いお湯と、水道から来る冷たい水を蛇口の中で混ぜて作られます。水道から来る水は勢いが強いため、この冷たい水の割合を増やせば、結果としてシャワーから吹き出す水圧も強くなります。
具体的には、台所にあるリモコンの給湯温度を、普段より高い50度から60度に設定してください。
- リモコンの設定温度を50度から60度に上げる
- お風呂場の蛇口の温度つまみは40度前後にする
- シャワーを出して勢いが強くなったか確かめる
外から60度の熱いお湯が来るため、蛇口は40度にするために勢いの強い冷たい水をたくさん混ぜようとします。だから、最終的にシャワーから出てくる全体のお湯の量と勢いが増すという理屈です。高圧タイプを選んだ上でこの設定を行えば、ガスの給湯器と遜色のない強い水圧を作り出せます。
ただし、この方法を使う時は、台所の蛇口からいきなり熱湯が出ないように気をつけてください。
リモコンの設定温度を上げると、家中のすべてのお湯の温度が上がります。台所で洗い物をする時、うっかりレバーをお湯側いっぱいに回してしまうと、60度の熱湯が出てやけどをする危険があります。小さな子供やお年寄りがいる家では、お風呂に入る時だけ温度を上げ、出たら安全な40度に戻す習慣をつけてください。
業者へ見積もりを頼む時に必ず伝えるべき水圧の希望
給湯器の交換を業者に頼む時は、最初から「シャワーの水圧を落としたくないから高圧のタイプで見積もりを出してほしい」とはっきり伝えてください。何も言わずに見積もりを頼むと、一番安い標準の機種で見積書を作られる確率が高いからです。
インターネットで検索して出てくる交換専門の業者は、他社よりも合計の金額を安く見せて注文を取ろうとします。
高圧のタイプを提案すると全体の金額が数万円上がってしまうため、あえて標準のタイプだけを勧めてくる業者が後を絶ちません。見積書をもらったら、書かれている機械の型番をインターネットで検索し、それが高圧のタイプかどうかを自分自身で確かめる防衛策が必要です。
パナソニックなら品番の中に「H」、三菱なら「S」といった具合に、高圧を示すアルファベットが型番に隠されています。
安さだけで業者を選ぶと、工事が終わって初めてシャワーを出した時に後悔します。「お湯が出れば何でもいい」という頼み方はせず、毎日のシャワーの快適さをお金で買うつもりで業者と交渉してください。
まとめ:エコキュートでシャワーの勢いを保つなら高圧タイプを買う
シャワーの水圧の弱さで後悔しないためには、最初から各メーカーが出している高圧の機種を選ぶのがもっとも賢い選択です。タンクの破裂を防ぐために水圧を落とす仕組みがある以上、機械の性能でお湯を押し出す力を補うしかありません。
とくにガス給湯器からの買い替えや、2階以上にお風呂を作る家では、高圧タイプを選ぶことが快適に暮らすための絶対の条件になります。機械の値段が数万円上がっても、これから10年間、毎日のお風呂でストレスを感じずに済むなら安い投資です。
水圧に文句が出やすい節水用のシャワーヘッドは外し、ホームセンターで低水圧用のものへ取り替える準備も進めてください。
業者に丸投げして一番安い標準の機種をつけられてしまう失敗を防ぐため、見積もりを頼む時は自分の口でしっかり希望を伝えましょう。







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