環境保全の必要性が叫ばれてすでに久しく、家庭用の住宅設備でもさまざまな省エネ対策を施されたものが普及してきています。
家庭でのエネルギー消費量は高熱費という指標でわかりやすく把握することができ、電気代やガス代が安くなる機器の導入は環境配慮に直結するといっても過言ではありません。
そんな省エネ型住宅設備として、「エネファーム」と「エコキュート」が挙げられます。
よく耳にする機器名ですが、これらは具体的にはどのような設備なのでしょうか。
本記事では特にエネファームからエコキュートに設備交換することを前提とし、両者の違いや乗り換えにまつわるメリット・デメリットを解説します。
「エネファーム」って何?
まずはエネファームとはどのような機器のことかについて概観しておきましょう。
これはごくかいつまんでいうと、エネルギー源にガスを用いて発電する家庭用燃料電池の一種です。
都市ガスやLPガスなどを化学反応させて電気と熱を得る仕組みで、発電に加えてその際の熱を利用してお湯を沸かすことができるため、給湯器としての機能も持っています。
これを「家庭用燃料電池コージェネレーションシステム」といい、家庭内で用いる電力の一部をまかない、災害時など停電した際には予備電源として使用することが可能です。
あくまでも燃料電池としての機能がメインであることから、給湯器としては電気を生み出す際のガスの化学反応によって得られた熱を副次的に利用したものともいえます。
しかし産生されたエネルギーを有効活用するという観点では、省エネによる環境配慮に合致したコンセプトといえるでしょう。
日常生活で消費する電力を自ら作り出ししつつバックアップ電源として使えるエネファームは、非常時において心強いライフラインの一つとなるでしょう。
エネファームの詳しい仕組みとは?
エネファームはガスを用いて発電していることを先に述べましたが、これはガスを燃焼させた熱エネルギーで発電機を作動させるといった意味ではありません。
エネファームは燃料電池の原理で発電しています。
その仕組みの概要について見ていきましょう。
水素と酸素の化学反応で発電
エネファームが発電する仕組みは、都市ガスやLPガスから抽出した「水素」と空気中の「酸素」を化学反応させると電気が発生することを応用したものです。
エネファームがガスで動くといわれるのはそのためで、正確にはガスを原料とした化学反応で電気を生み出す機構といえるでしょう。
水素と酸素を反応させて電気を得ることは燃料電池の仕組みと同じで、したがってエネファームとはガスを用いた家庭用燃料電池装置と言い換えることができます。
原理は「水の電気分解」の逆パターン
エネファームが発電する仕組みの基礎となる水素と酸素の化学反応は、「水の電気分解」の逆パターンと考えると分かりやすいでしょう。
「水の電気分解」とは水を電気で分解することによって酸素と水素が発生する現象のことで、逆に水素と酸素を反応させると電気と水を得られるというものです。
さらには水の電気分解の逆パターンで水素と酸素を反応させると、電気と水みのみではなく熱も発生します。
エネファームはこの熱を有効利用して水を加熱し、得られたお湯を貯湯ユニットにためておくことが可能です。
このようにエネファームとはガスを化学反応させて発電し、同時に発生した熱でお湯を沸かすこともできる発電+給湯器の機能を持った設備であるといえます。
ただし、エネファームは発電能力はあっても蓄電池としての機能を備えていない点には注意しましょう。
「エコキュート」って何? その仕組みは?
次にエコキュートとはどのような機器であるのかについて見ていきましょう。
エコキュートは一言でいうと、電気の力でお湯を沸かす高効率給湯器です。
ただし電気でお湯を沸かすといっても、電熱で直接水を温めるわけではありません。
エコキュートはヒートポンプと呼ばれる熱交換装置を備えており、これで空気中から集めた熱をさらに温度上昇させて水を加熱するという仕組みです。
ヒートポンプは冷蔵庫やエアコンにも用いられている技術で、温室効果ガスをほとんど排出しない特徴を持っています。
エコキュートはヒートポンプユニットで沸かしたお湯を貯湯タンクにためておき、必要に応じて最適な温度になるよう水で割って給湯するのが基本的なシステムです。
夜間の電気料金が安い時間帯を中心に稼働してタンクにお湯をためておき、日中にそのストックを用いるのが一般的な使い方といえるでしょう。
エコキュートは電気の力でヒートポンプを動かし、空気中の熱で沸かしたお湯をタンクに貯める給湯器と定義づけられます。
エコキュートの詳しい仕組みとは?
エコキュートが電気でヒートポンプを動かし、大気中の熱を集めてお湯を沸かすことを先に述べましたが、なぜ熱いお湯を得られるほど温度を高めることができるのでしょうか。
その仕組みと原理について、以下でもう少し詳しく見ていくことにしましょう。
ヒートポンプは大気中の熱を汲む装置
ヒートポンプとはその名の通り、熱を汲み上げる作用を持った装置です。
汲み上げるというのは実際には概念的な表現ですが、手順としては以下の通りです。
「大気中の熱」とはつまり太陽で温められた空気のことで、まずはこれを装置に取り入れます。
圧縮した気体は温度が上がり、開放すると温度が下がるという性質を利用し、大気中から取り込んだ空気を圧縮します。すると温度が上昇して水がお湯になるほどの熱源を得ることが可能になるのです。
そのためには連続的に空気を循環させて熱の吸収・圧縮を繰り返す必要があるため、
熱エネルギーを運搬する「冷媒」と呼ばれる気体を媒介に用いています。
ヒートポンプの冷媒には二酸化炭素を使用
前項で述べた冷媒とは熱を運んで水に移すための気体を指しており、ヒートポンプでは二酸化炭素を用いています。
かつてエアコンなどには人工の気体である「フロン」が使われていましたが、オゾン層の破壊につながることから使用が制限されました。
ヒートポンプに使われている冷媒の二酸化炭素は圧縮して温度を上昇させた空気の熱水に伝え、今度は開放によって温度を下げて再び大気中の熱を集めます。
このように圧縮と開放を繰り返しながら循環して、次々に大気中の熱を集めては水を加熱していくのが、エコキュートのヒートポンプが持つ機能です。
エネファームからエコキュートに変更することは可能?
エネファームとエコキュートそれぞれの概要を見てきましたが、では仮に住宅設備を改修するタイミングなどで、エネファームからエコキュートに変更することは可能なのでしょうか。
結論からいうと作業そのものは可能です。
ただしその際にはさまざまなメリットに加えてデメリットも生じるため、その点をよく理解して実行する必要があります。
以下にエネファームからエコキュートに変更する場合の、メリットとデメリットの概要を見ていきましょう。
もちろんその後のランニングコストや目的に沿った機能、あるいは災害時の稼働性能などを総合的に考慮すると必ずしも「高い」とばかりはいえませんが、導入には資金計画の検討が求められるでしょう。
したがって、個人での新築や改築で導入する場合にはエコキュートの方がハードルは低いと感じるのは事実です。
ただし先述した通り、エネファームが持つ災害時や非常時におけるバックアップ電源としての機能は価格以上の価値と実用性を発揮するケースが考えられることから、十分に検討して納得の上で選択することが重要であるといえます。
エネファームからエコキュートに変更するメリットは?
エネファームからエコキュートに変更することによって得られる最大のメリットとしては、ランニングコストの低減が挙げられます。
使用の前提やデータによってランニングコストには大きく差が生じますが、一例としてエネファームは年間6~8万円、エコキュートは約2.5万円という試算があります。
エネファームが稼働のための電気代と発電に用いるガス代が必要であるのに対して、エコキュートはほぼ電気代のみで済むことが大きく作用しているといえるでしょう。
また、エコキュートは夜間の電気代が安い時間帯に集中して稼働することで、さらなるエネルギー効率を実現している点も重要です。
このように日々使うなかでのランニングコストの安さは、設備変更の大きなメリットといえます。
エネファームからエコキュートに変更するデメリットは?
一方、エネファームからエコキュートに変更した場合のデメリットも存在しています。
その代表例の一つはエネファームの撤去とエコキュートの機器購入・設置工事のため新たに費用がかかる点です。
エネファームは本体価格と工事費を合わせて100万~200万円ほどが必要で、これを既に支払っている前提とします。
対してエコキュートは本体価格がおよそ30~70万円、設置工事費は約15万円、合計で45~85万円程度が相場とされています。
エネファームからエコキュートに変更する場合には最低でもこのエコキュート新設にかかる費用が必要で、状況によっては追加工事が発生する可能性も皆無ではないでしょう。
ただしエネファームとエコキュートでは年間ランニングコストに3.5万円~5.5万円ほどの差が生じるため、仮にエコキュートに変更した場合でも安いモデルであれば1年ほどで費用の相殺が見込まれます。
その後もエコキュートのランニングコストの安さにより、一定期間使用すれば差額のためエネファームの初期投資分も含めていわば黒字転換することも不可能ではありません。
そのためここではデメリットとして挙げた側面が、長いスパンではエコキュートに変更することで家計へのコストパフォーマンスが向上することも予想されます。
まとめ
最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。
この記事ではエネファームからエコキュートに変更することを前提として、両者の違いや変更によって生じるメリット・デメリットについて解説しました。
エネファームとエコキュートはそもそもコンセプトの異なる機器であるため一概に比較することはできませんが、家計を考える上ではエコキュートの高いランニングコストは大きな魅力といえるでしょう。
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