エコキュートの「給湯専用」タイプとは？メリット・デメリットやその他のタイプと異なる点を解説！

地球規模での環境問題に対応するため、省エネの必要性が叫ばれ強力に推進されています。

企業などの産業活動だけではなく一般家庭や個人レベルでも省エネへの意識が高まり、すでに規模の大小を問わず取り組まれていることは周知のとおりです。

住宅においても省エネ効果を向上させる設備が発達し、特に家庭生活でもっともエネルギーを消費するといわれる給湯関連機器の効率化が注目されます。

そのうちの一つに「エコキュート」が挙げられ、電気のエネルギーだけでお湯を得ることができるため温室効果ガスをほとんど排出しないクリーンな給湯器として普及が進んでいます。

そんなエコキュートは機能の差でいくつかのタイプに分類することができ、機種としてのグレードを示す基準ともいえるでしょう。

本記事ではエコキュートの「給湯専用」というタイプに焦点を当て、そのメリット・デメリットや他のタイプとの違いについて解説します。

エコキュートとはどんな給湯器？

最初にそもそもエコキュートとはどのような給湯器であるのか、その概要や特徴について見ておきましょう。

電気エネルギーで稼働する高効率給湯器であることはすでに述べたとおりですが、エコキュートを特徴付ける機能としては大きく2点が挙げられます。

1つめは「ヒートポンプ」という熱交換装置を備えている点です。

エコキュートが電気を使ってお湯を作り出す機能とは電熱で直接水を温めているのではなく、ヒートポンプの作用によって大気中の熱を集めてそれを増幅させ、お湯を沸かすほどの温度を得るというものです。

もう少し詳しくこの仕組みを述べると、ヒートポンプの内部には「冷媒」と呼ばれる気体（二酸化炭素）が循環しており、これを媒介にして大気中から熱を収集します。そして気体を圧縮すると温度が上昇する性質を利用し、冷媒に移した熱量を上げて水を温めていきます。

なお、気体は開放すると逆に温度が下がるため、ヒートポンプは冷媒の圧縮と開放を繰り返して連続して大気中の熱を集める仕組みとなっています。これは冷蔵庫やエアコンにも使われている技術と同様です。

2つめの特徴は「貯湯タンク」を備えていることです。

読んで字のごとくお湯をためておくためのタンクのことで、エコキュートは夜間の電気料金が安い時間帯にヒートポンプを稼働させてお湯をつくり、それを日中に使用するのが基本的な運用となります。

お湯の温度はおおむね60℃程度が上限とされ、これを必要に応じて水で割ることで適切な設定温度に変化させて給湯します。

タンクにお湯がたまっていることから万が一ライフラインにダメージを受けたとしてもしばらくは使用が可能なため、災害時の強靭性もメリットの一つです。

エコキュートの「給湯専用」タイプとは？

エコキュートの概要を見てきましたが、機種ごとに多様な機能が付与されており、タイプとしては大きく3つに分類することができます。

そのうちの一つが「給湯専用」と呼ばれるもので、これは主にお風呂の使用に際してお湯はりや給湯の停止、足し湯などの操作をすべて人間が手動で行う必要があるタイプのことです。

お湯を作り出す作業そのものはエコキュートが設定に応じて自動で実施し、キッチンや洗面所など各所で使用するお湯の温度も任意に決めることができますが、それ以外の給湯を自身で行う点が最大の特徴といえるでしょう。

いわばもっともシンプルなエコキュートの姿であり、これを必要最低限の機能とたとえることもあります。

お湯はりなどについて自動運転に関連する一切の機能を搭載していないことから、「給湯専用」と呼ばれているものと考えられます。

エコキュートにおける給湯専用以外のタイプは？

エコキュートには上記の給湯専用の他、「フルオート」と「セミオート」といったタイプがあります。

フルオートとは浴槽へのお湯はりと停止をボタン一つで実施し、しかも浴槽内の湯温と湯量を自動でキープする機能を搭載しています。

人間が行うのは設定とボタンの押下くらいであることから「フルオート」と呼称され、エコキュートの機種では最上位モデルに分類されるタイプといえるでしょう。

なお、エコキュートの「追い焚き機能」はこのフルオートタイプにしか搭載されていない特殊なシステムで、専用の配管が必要となります。

一方のセミオートとは設定に合わせてボタン一つでお湯はりと停止を自動で行うタイプのことです。

湯量や温度のキープは自動でできないのがフルオートタイプと異なる点で、それと比較して「セミオート」と呼ばれるものと思われます。

以上が「給湯専用」に加えての2タイプで、この3つがエコキュートの機能別分類となります。

給湯専用タイプのエコキュートが持つメリットは？

給湯専用タイプのエコキュートはシンプルな機能が特徴的ですが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

いずれも給湯機能に特化した潔い構造であることに由来するものですが、積極的に長所として活用できる点でもあります。

以下、代表的な例を見ていきましょう。

初期費用の安さ

給湯専用タイプのエコキュートにおけるメリットとしては第一に初期費用が安く済む点が挙げられます。

エコキュートがフルオート・セミオート・給湯専用の3種類に大別されることを先に述べましたが、これは多機能性の順に機種のグレードを表す指標でもあります。

つまりもっとも高機能なフルオートを最上位モデルとして、シンプルな給湯専用タイプはもっともリーズナブルなモデルであると理解できます。

エコキュートの一般的な本体価格が30～70万円と幅広いのはそのためで、設置工事費は約15万円といわれていますがフルオートタイプでは追加の追い焚き用配管工事が必要になるケースがありさらに高額になることもあります。

その点給湯専用タイプだと上記のうち最安の価格帯となり、設置工事も比較的シンプルな施工で済むことが一般的です。

さらには型落ちモデルや店舗ごとのキャンペーンで本体価格が30万円を下回ることもあり、給湯専用タイプのエコキュートはこのような初期費用の安さが大きなメリットとなっています。

操作の簡潔さ

給湯専用タイプのエコキュートはお湯はりの開始や停止をすべて手動で行う必要があることを述べましたが、これは操作が簡潔であるというメリットにもつながります。

つまりお風呂に入るためには自身で蛇口を捻ってお湯を出し、浴槽の水位が必要量にまで達したら自身で止水するというシンプルな作業となります。

お湯を出しっぱなしにして溢れてしまわないように注意する必要はありますが、タイマーをかけてアラームが鳴るようにしたり、予測した時間までにこまめに目視確認したりするなどの工夫で十分対応が可能です。また、家族と同居しているなどの状況であれば複数人で気を付けるようにすることもできるでしょう。

高機能性や多機能性はともすれば煩雑に感じてしまうケースもあることから、必要最低限のシンプルな操作性が魅力やメリットになる場合もあります。

入浴剤使用の自由度

家庭でお風呂に入るとき、さまざまな入浴剤を楽しむ人も多いのではないでしょうか。

ですがフルオートタイプのエコキュートでは、基本的に使用が制限される入浴剤の種類があります。

これは追い焚き用に特設された配管内を浴槽のお湯が循環するためで、入浴剤の成分によっては構造にダメージを与えることが理由です。

その点給湯専用タイプではそうした追い焚き用配管がそもそもないため、入浴剤の使用はフルオートタイプに比べて格段に自由度が増します。

家庭でさまざまな入浴剤を楽しみたい人には大きなメリットといえるでしょう。

給湯専用タイプのエコキュートが持つデメリットは？

では一方で、給湯専用タイプのエコキュートにはどのようなデメリットがあるのでしょうか。

いずれもフルオートタイプやセミオートタイプといった機種と比較した場合のことであるため一概には短所と言い切れませんが、それぞれの特性を把握する意味でも確認しておきましょう。

以下、代表的な3つの例を挙げました。

操作にかかる手間

給湯専用タイプのデメリットの最たるものとしては、操作にかかる手間が挙げられます。

これは「操作が簡潔」であるというメリットと矛盾するかのようではありますが、両者は表裏一体の事象です。

操作のシンプルさは手動に頼る部分に由来しており、これを簡潔とみるか煩雑と感じるかは人それぞれであるためです。

たしかに自身で蛇口を捻ってお湯を出したり止めたりすることは、ある意味では手間といえるでしょう。

ただし価格やスペックへのニーズなどを鑑みたうえで、メリットとなるかデメリットとなるかを判断する必要があります。

エネルギー効率が低め

給湯専用タイプのエコキュートはフルオートタイプと比較した場合、エネルギー効率は低めとなります。

高効率給湯器ではできるだけ少ないエネルギーでお湯を沸かすことが重要ですが、給湯効率を数値化したものはフルオートが3.5～4.0程度、給湯専用では2.7～3.2ほどとされています。

ランニングコストに直結する問題ではありますが、使用状況や総体としての使用量と比較して検討する必要があるテーマの一つです。

選択肢の少なさ

給湯専用タイプのエコキュートは、実は多くのモデルが存在するわけではありません。

ほぼ1機種に限られるメーカーもあり、非主流であることが伺えます。

給湯専用タイプへのニーズそのものが少ないことが予想されますが、このような選択肢の少なさというデメリットは念頭に入れておく必要があります。

まとめ

最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。

この記事では給湯専用タイプのエコキュートを取り上げ、他のタイプとの違いやメリット・デメリットについて解説しました。

給湯専用に分類されるエコキュートはシンプルでわかりやすい操作性である一方、手動での手間やランニングコストの高さ、機能性と商品ラインナップの制限には注意が必要といえるでしょう。

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