エコキュートの調子が悪い、最近お湯の濁る気がするなど、エコキュートの不調を感じる時に見直したいのが、「水抜き」です。エコキュートを設置しているものの、水抜きをしたことがない、どのような作業なのかわからないという人も実は少なくありません。そこでこの記事では、エコキュートを長く安全に使うために必要な「水抜き」について、必要性や作業手順、注意点や業者に依頼する際のポイントまで、詳しく解説していきます。
1.エコキュートの「水抜き」とは?
まずは、そもそもエコキュートの水抜きとはどのような作業なのかを押さえましょう。
1-1.エコキュートのシステムをおさらい
エコキュートは、電気に加えて大気中の熱を利用してお湯を沸かす、「ヒートポンプ技術」を使った省エネ型の給湯システムです。単価の安い夜間電力を使って、お湯を沸かして貯湯タンクに貯めておいて、1日分のお湯をまかないます。そのためエコキュートは、電気代の節約や二酸化炭素排出削減の面で、優れた給湯器だといえ、オール電化住宅を中心に広く普及しているのです。
1-2.エコキュートの「水抜き」とは?
エコキュートは基本的に、貯湯タンクや配管内に常に水がたまっている状態です。エコキュートの水抜きとは、この貯湯タンクや配管内に残った水を排出する作業のことです。水が常にたまっていると機器内部に汚れが堆積して、性能が低下してしまったり、寿命が縮まったりする恐れがあります。これを防ぐ目的で、水抜きを行うのです。
1-3.水道水を使っているのになぜ汚れるの?
水道水は一見不純物もなくきれいに見えるものの、実は微量のカルシウムや鉄分、塩素などが含まれているのはご存知でしょうか。これらのミネラル分が時間の経過とともに、貯湯タンクや配管の内部に「スケール(水垢)」となって堆積してしまいます。とくに地域によっては水道水が硬水で、スケールが付きやすいこともあります。
2.エコキュートの水抜きはなぜ必要?
エコキュートの水抜きは、なぜ必要なのでしょうか。
2-1.トラブルを未然に防ぐため
エコキュートの水抜きは、貯湯タンクや配管の内部にたまったスケールや異物、汚れを除去する絶好の機会です。そのため、水抜きをすることで、汚れや異物などによる不具合の発生を未然に防げます。
2-2.エコキュートの寿命を延ばす効果も
定期的に水抜きをすれば、部品の劣化や錆の発生を防げるので、結果としてエコキュート全体の寿命を延ばすことにもつながります。長く安定して使用するなら、水抜きは必ず行いたい作業です。
2-3.メーカーも水抜きを推奨している
エコキュートメーカーの多くは、取扱説明書などで水抜きを定期的に行うことを推奨しています。水抜きの有無が機器の保証にも影響する場合もあります。適切なメンテナンスをしていないことで、保証の対象外になってしまう可能性があるのです。
3.水抜きをしないと起こる4つのトラブルとは?
エコキュートの水抜きをしないことで起こるおもなトラブルは、次の4つです。
3-1.貯湯タンク内に不純物がたまってしまう
貯湯タンク内の水が常にたまった状態だと、見えない汚れや金属片などが沈殿するようになります。これがカビや腐敗の原因にもつながってしまいます。貯湯タンク内部の汚れまで加熱されることで、異臭や異常音の発生するケースもあって、放置するのは危険です。
3-2.お風呂に黒い汚れが浮く原因に
配管やフィルターに汚れが蓄積してしまうと、浴槽に逆流して、黒や茶色の浮遊物が浮いてしまうことがあります。入浴中に汚れが浮いているのは不快であり、もちろん衛生面でも大いに問題です。
3-3.配管・フィルターの劣化が進んでしまう
配管やフィルターに汚れが堆積すると目詰まりを起こし、水圧が低下したり、フィルターの寿命を縮めたりしてしまいます。とくに風呂配管のフィルターが詰まってしまうと、追い炊き機能がうまく機能しなくなったり、湯温が安定しなくなったりといった不具合につながりかねません。
3-4.エコキュートの寿命が縮む可能性
貯湯タンクや配管内部にスケールや汚れのたまったままで使い続けると、熱交換器やヒートポンプユニットといった基幹部品に負荷がかかってしまいます。そのまま使い続けると、部品の劣化や故障が早まって、エコキュートの寿命を早めてしまいかねません。
4.エコキュートの水抜きは自分でできる?作業前の注意点とは?
ここからは、エコキュートの水抜きは自分でできるのか、作業前に注意する点が何かを解説していきます。
4-1.水抜きは自分でもできる
エコキュートの水抜きは、取扱説明書に沿って作業を進めれば、自分で作業が可能です。
4-2.水抜き作業前の準備物
水抜きを安全でスムーズに進めるために、次のような道具を準備するといいでしょう。
- バケツ(排水を受ける)
- 軍手(やけどや汚れを防止)
- プラスドライバー(排水弁の開閉に使うのに必要な場合がある)
- タオル(周辺の水濡れを防止する)
- 取扱説明書(機種ごとに手順が異なる)
4-3.水抜き前の確認点
水抜きの作業前には、次のような点の確認もしておきましょう。
- 電源ブレーカーの位置とブレーカーの切り方
- 水道の止水栓の位置と操作方法
- 排水経路の安全性確認(子どもやペットが立ち入らないように)
4-4.メーカーごとに異なる点も確認
エコキュートは、パナソニック・日立・三菱などメーカーによって構造や排水弁の位置などが異なります。必ず機種別の取扱説明書を確認しましょう。
- 逃し弁が自動式か手動式か
- 排水パネルの位置
- 風呂配管の洗浄方法
上記はとくに注意して確認するべきポイントです。メーカー・機種によって異なるので気をつけましょう。
5.エコキュートの水抜き手順を紹介
エコキュートの水抜きは、およそ次のような手順で行います。もちろんメーカーや機種によって詳しい手順は異なるものの、作業の流れの参考にしてください。
5-1.漏電遮断器をオフにする
まずは、ブレーカーの「漏電遮断器」をオフにしましょう。作業中の感電を防ぐため、まずは必ず漏電遮断器のオフから始めます。屋外の分電盤や本体横のスイッチにあることが多いので探しておきましょう。
5-2.給水バルブ(止水栓)を閉める
水を貯湯タンクに供給するのを止めるために、給水用の止水栓を閉めます。バルブの位置は、本体や配管に表示されている場合が多いので、確認してみましょう。
5-3.排水バルブを開けて貯湯タンク内の水を抜く
給水を止めたら、バケツを用意して排水バルブを開けて内部の水を抜きます。はじめは濁った水の出る場合もあるので、ゆっくり慎重に操作するようにしましょう。
5-4.逃し弁を開けて内部圧力を逃す
水はスムーズに排水されるように、逃し弁を開けて貯湯タンク内の空気圧を逃すようにします。これで水がスムーズに排出されるようになり、貯湯タンク内部の水をすっかり空にできます。
5-5.水が出なくなったら排水バルブを閉じる
排水が完全に終わってから、排水バルブと逃し弁を確実に閉めましょう。次に水をためる時に水漏れの原因となるので、しっかり閉めるようにします。
5-6.給水バルブを開けて水をため直す
給水バルブを再度開けて、貯湯タンクに水をため直していきます。通水を確認後に、異音や水漏れがないかチェックしておきましょう。
5-7.通電して動作確認する
最後に、漏電遮断器をオンに戻して通電させます。エコキュートが正常に作動しているか、お湯が出るかなどを確認して、エコキュートの水抜きが完了です。
6.水抜きを行う際の注意点とは?
水抜きは比較的簡単な作業ではあるものの、次の点には注意しましょう。
6-1.やけどに注意
貯湯タンク内に熱湯がたまっていて、排水時に熱湯が出てくる可能性もあります。作業前に必ず湯温を確認し、やけどしないように気を付けましょう。軍手を着用しておくと安心です。
6-2.凍結のリスク
冬場は排水後の残水が凍結し、配管破裂の原因になりかねません。気温の高い日に行うようにすれば、心配は不要です。
6-3.通水確認を忘れずに
水抜き作業後は、バルブを元に戻したかを確認して、しっかり水が流れるかチェックするのが重要です。
6-4.天候にも注意
エコキュートの排水は、大部分は屋外での作業になります。雨天や強風時など、悪天候の日は避けた方が安心です。
7.水抜きを業者に依頼した方がいいケースとは?
エコキュートの水抜きは自分でもできる比較的容易な作業ではあるものの、次のような場合には専門業者に依頼した方がいいでしょう。
7-1.水抜き作業前から水漏れ・異音などのトラブルがある場合
すでに本体や配管から水が漏れていたり、異音が発生したりしている場合には、水抜きをしたからといって解決はしません。無理に自分で水抜き作業を進めてしまうと、症状を悪化させてしまうかもしれないので、業者に依頼するようにしましょう。
7-2.古い機種・取扱説明書のない場合
10年以上前の古いモデルになると、現行の機種とは部品の位置や名称が異なる場合も多々あります。間違って操作して、故障させてしまうリスクがあるので、このような場合にも業者に依頼するのがおすすめです。
7-3.排水バルブの位置がわからない・作業スペースが狭い
貯湯タンクを設置した状況によっては、バルブや配管に手が届きにくく、無理な姿勢で作業しなければならないこともあります。このような場合には、安全・確実に水抜きするためにも、業者に依頼するのがおすすめです。
7-4.冬季に凍結の恐れがある地域
寒冷地では、排水中に配管内部が凍結してしまう可能性があります。専門業者に依頼すれば、凍結防止処理をした上で安全に作業してもらえます。
8.水抜きを業者に依頼する際のポイントとは?
最後に、水抜きを依頼する際の、業者選びのポイントを紹介します。
8-1.エコキュートの水抜きを依頼できる業者とは?
エコキュートの水抜きは、給湯器専門店・メンテナンス業者や住宅設備業者、地元の電気・ガス工事業者などが対応してくれます。メーカーの公式サポート窓口にも相談できます。
8-2.事前に見積もりを取る
エコキュートの水抜き作業を依頼する場合、出張費と作業費が別に書かれていることが多いので、総額を必ず確認しましょう。
8-3.対応機種の作業実績が豊富か確認
とくに古いエコキュートの機種や、特殊な設置方法をしているエコキュートは、そのような水抜き作業の対応実績がある業者に依頼するようにしましょう。
8-4.口コミや評判もチェック
信頼できる業者を探すには、インターネットの口コミやレビュー、地域の評判などを確認するのも有効です。
8-5.定期メンテナンス契約もおすすめ
水抜きだけでなく、フィルターの洗浄や点検なども含めたエコキュートの定期メンテナンスを行っている業者があれば、契約を検討するのもおすすめです。作業が割安になったり、優先的に対応してもらえたりする可能性があります。
9.まとめ
エコキュートを設置している人は、エコキュートを長く安全・安心に使い続けるためにも、定期的に水抜き作業を行いましょう。水抜きは比較的容易な作業ではあるものの、確実に作業を行わなければ故障や怪我の原因になりかねません。すでに不具合が出ている場合や、作業に不安がある場合には、気軽に専門業者に相談してみましょう。その他のメンテナンスもあわせてしてもらえば、エコキュートの寿命を延ばし、トラブル予防や省エネ性能の維持にもつながります。
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