エコキュートの室外機(ヒートポンプユニット)は、深夜の運転時に騒音や低周波音を発生させるため、設置場所のルールを守ることが最も重要です。対策費用は、防振マットの設置なら数千円で済みますが、防音壁や移設工事を行う場合は数万円から10万円以上かかるため、初期段階で費用対効果の高い対策を検討しましょう。
室外機は主に深夜の安い時間帯に稼働し、コンプレッサーの動作音や送風音が静かな夜間に際立ち、隣家との騒音トラブルの原因になりやすいからです。特に、設置する場所が隣家の寝室に近いと、低周波音による影響も懸念されるため、費用をかけてでも慎重な対策が必要です。
例えば、設置場所に防振マット(費用:約3,000円~5,000円)を敷くだけで、床や基礎を伝わる振動が大幅にカットされ、騒音リスクを大きく軽減できます。しかし、隣家との距離がほとんどない場合は、防音塀の設置(費用:約10万円~)を検討せざるを得ません。
この記事では、室外機の騒音対策にかかる具体的な費用目安を対策レベル別に提示し、トラブルを防ぐための適切な設置場所のルールを詳しく解説します。この情報を活用し、ご自宅とご近所にとって最適な静音環境を実現しましょう。
エコキュート室外機(ヒートポンプ)の仕組みと音が大きくなる理由
エコキュートの室外機は、エアコンの室外機と同じく「ヒートポンプユニット」と呼ばれます。その役割と、なぜ音がするのかという仕組みを理解しておきましょう。
室外機が空気を温める「ヒートポンプ」の役割とは
エコキュートは、電気の力だけでお湯を作るのではなく、室外機が空気中の熱を集めてお湯を作る仕組みです。
- 役割:
ヒートポンプユニットは、外気から熱を取り込み、その熱で冷媒(フロンなど)を温めて高温にし、その熱を貯湯タンク内の水に移してお湯を沸かします。 - 省エネの理由:
使っている電気の量以上の熱を取り込めるため、電気エネルギーを効率よく利用でき、高い省エネ性能を発揮します。
深夜に音が目立つ理由と低周波音の正体
室外機から出る動作音は、主に二つの要素から成り立っています。
- コンプレッサーの駆動音:
熱を圧縮するポンプが動くときの「ブーン」という低い音。これが騒音トラブルの原因となる低周波音の主成分です。 - ファンの回転音:
空気を取り込むためのファンが回る「ゴー」という音。
音が深夜に目立つのは、エコキュートが電気料金の安い深夜時間帯に集中的に稼働するからです。夜間は周囲が静まり返るため、昼間は気にならなかった動作音が際立ってしまいます。低周波音は、壁や窓を貫通しやすく、人によっては不快感や体調不良を感じることがあるため、特に注意が必要です。
騒音トラブルを避ける!室外機の適切な設置場所ルール
騒音トラブルを未然に防ぐためには、本体にいくら防音対策を施すよりも、最初の設置場所選びが圧倒的に重要です。
隣家との境界線から確保すべき推奨距離と方向
騒音の被害を防ぐために、室外機を設置する方向と距離には配慮が必要です。
- 推奨距離:
多くのメーカーや専門家は、隣家との境界線から最低でも1m以上離すことを推奨しています。隣家の寝室やリビングの窓が近い場合は、さらに距離を取るか、後述の防音対策が必要です。 - 排気方向:
室外機の熱い排気が隣家の窓や壁に直接当たらないように、排気の向きを隣家側に向けるのは避けましょう。排気は熱を持つため、迷惑になる可能性があります。
騒音が響きやすい寝室の窓下や通路を避ける
設置場所の構造によって、音が予想外に響くことがあります。
- 窓下:
隣家の寝室の窓の真下や近くは、音が直接入り込みやすいため、絶対に避けるべき場所です。音が静かな深夜に、最も影響が出やすい場所です。 - 通路や囲まれた場所:
壁に囲まれた狭い通路や、コンクリートの壁に挟まれた場所は、音が反響し増幅してしまう「反響音」が発生しやすくなります。音の逃げ道がない場所への設置は避けましょう。
設置時に確認すべきメーカーの公式設置基準
エコキュートの機種ごとに、効率よく運転し、かつ安全に使えるよう、メーカーが設置基準を定めています。
- 壁からの距離:
室外機は空気の循環が必要です。壁から排気側・吸気側で10cm~30cm程度離すよう指定があります。これが守られないと、効率が落ちたり、故障の原因になったりします。 - 基礎の確認:
室外機は水平で安定した場所に設置し、振動を抑えるために必ず専用の基礎ブロックの上に設置しなければなりません。
騒音対策の費用対効果比較!対策別にかかる費用の目安
騒音を解決するための対策は、費用や手間によっていくつかのレベルに分かれます。費用対効果が高い順に検討しましょう。
数千円でできる!防振マット(ゴム)購入の費用と効果
最も手軽で、費用対効果が高いのが、室外機本体の「振動」を防ぐ対策です。
| 対策レベル | 費用目安 | 効果 |
|---|---|---|
| 自己対策 (防振) | 3,000円〜5,000円 | 床や基礎を伝わる振動音(低周波音の原因)を大幅にカット。 |
室外機と基礎の間に防振ゴムや防振マットを設置することで、本体の振動が地面や住宅の基礎に伝わるのを防げます。これは低周波音対策として非常に有効であり、まず試すべき対策です。
数万円〜10万円:防音壁・防音フェンスの設置費用
物理的に音の伝達経路を遮断する対策は、費用が高くなります。
- 防音フェンス/塀:
隣家との間に、高密度の素材を使った防音フェンスや遮音性の高い塀を設置する方法です。 - 費用:
設置する面積や素材によりますが、5万円〜15万円程度が目安です。ただし、排気口を塞がないように注意が必要です。
大掛かりな移設工事が必要な場合の費用と工期
最も高額で手間がかかるのは、根本的に設置場所を変える移設工事です。
- 費用:
ヒートポンプユニットと貯湯タンク間の配管工事や電気工事が必要になるため、10万円〜20万円以上かかる場合があります。 - 工期:
基礎工事なども含め、1日〜数日かかる場合があります。
費用を抑えて騒音を減らす!自分でできる具体的な対策方法
専門業者に依頼する前に、自分でできる簡単な対策をいくつか試してみましょう。
防振マットを使った室外機本体の振動対策手順
防振対策は非常に重要です。
- 電源オフ:
必ず室外機の電源を切ります。 - 持ち上げ:
室外機本体を少し持ち上げ(ジャッキなどを使うと安全)、基礎との間に隙間を作ります。 - 設置:
メーカー推奨の防振ゴムや、高密度ゴム製の防振マットを、室外機の脚の下にそれぞれ設置します。 - 注意点:
設置後に水平が保たれているか確認し、本体の安定性を確保します。
運転モード設定の見直しで深夜の騒音を抑える
機種によっては、リモコンから運転モードを変更することで、音を抑えることができます。
- サイレントモード:
多くの最新機種には、深夜の運転音を抑える「サイレントモード」や「低騒音モード」が搭載されています。これを設定すれば、深夜の騒音が軽減されます。 - 沸き上げ時間:
もし可能であれば、沸き上げ開始時間を深夜の最も静かな時間帯(午前2時~4時など)から、少しずらすことで、隣家の就寝時間と運転時間をずらせる場合があります。
故障ではない異常な音が出た場合の自己チェック項目
室外機から出る音には、故障ではない正常な音と、点検が必要な異常な音があります。
- 正常な音:
「ポコポコ」「シュー」という音は、配管内のエア抜き音やお湯を作る際の冷媒の循環音であり、故障ではありません。 - 点検が必要な音:
「ガリガリ」「ガラガラ」という金属が擦れるような音や、明らかに異常な「キーン」という高音は、ファンに異物が当たっているか、コンプレッサーに異常が出ている可能性があるため、すぐに業者に点検を依頼しましょう。
設置後のトラブルを未然に防ぐための注意点
騒音対策の効果を最大限に引き出し、安全に使用するための重要な注意点です。
設置業者に騒音対策費用を事前に相談する重要性
エコキュートの導入や買い替えの際、設置業者への相談は必須です。
- 事前相談:
「隣家との距離が近いため、騒音対策を最優先したい」と事前に業者に伝えましょう。これにより、最初から設置場所を最適化したり、防振マットを設置費用に含めてもらったりすることができます。 - 見積もり:
防振マットや簡易な防音対策の費用を、本体価格と工事費とは別に、詳細な見積もりとして出してもらいましょう。
風通しの悪い場所への設置が引き起こす影響
室外機は空気中の熱を利用するため、風通しが悪いと効率が低下します。
- 効率低下:
排気がこもるような場所に設置すると、排気された冷たい空気を再度吸い込んでしまう「ショートサイクル」が発生し、効率が大幅に低下します。結果として、電気代が高くなる可能性があります。
室外機を覆うカバー設置はおすすめできない理由
見た目を良くしたい、音を閉じ込めたいという理由で、市販のカバーを取り付けたくなるかもしれませんが、これは基本的に推奨されません。
- メーカー保証外:
多くの場合、メーカーは運転効率が低下するため、専用ではないカバーの設置を推奨していません。故障の原因になる場合があり、保証の対象外になる可能性もあります。
まとめ
エコキュートの室外機(ヒートポンプユニット)の騒音問題を防ぐには、設置場所のルールを守り、適切な対策の費用をかけることが重要です。
- 設置場所のルール:
最も重要なのは、隣家との境界線や寝室の窓から十分な距離を確保することです。壁に囲まれた場所や狭い通路は避け、音が反響しない場所を選びましょう。 - 対策の費用目安:
最も費用対効果が高い対策は、数千円で購入できる防振マットの設置です。根本的な解決には数万円からの防音壁や移設工事が必要になる場合があります。 - 異音の確認:
「ガリガリ」といった異常音は点検が必要ですが、「ポコポコ」といった音は正常な動作音です。
この記事を参考に、設置前の段階で十分な対策を計画し、室外機の騒音によるトラブルを未然に防ぎましょう。







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