給湯器に電気温水器を採用している人にとって、平均寿命がどれくらいなのかは気になるところではないでしょうか。そこで今回は、電気温水器の平均的な寿命や、寿命が近づいた電気温水器に見られる兆候、寿命を延ばせるコツについて解説していきます。また、いつかは寿命を迎えて買い替えるのは避けられず、その際にどのような電気温水器に買い替えようかも、悩むところです。そこで、電気温水器から買い替えるのにエコキュートもおすすめの理由についても、あわせてお話ししていきます。
1.電気温水器の平均寿命は?
まずは、電気温水器の平均的な寿命について押さえましょう。
1-1.まずは電気温水器の種類を解説
電気温水器と一口にいっても、実はいくつか種類があるのはご存知でしょうか。内部の構造や仕組みによって、おもに次の3タイプが存在します。
- 貯湯式:あらかじめタンクにお湯を貯めておくタイプで、オール電化住宅でおもに採用される
- 瞬間式:お湯を使うタイミングでその都度加熱するタイプで、業務用施設などで利用される
- ハイブリッド型:貯湯式にヒートポンプ技術やガスなどを併用させた高効率タイプ
これらのタイプによって、寿命も同じではありません。まずはどのタイプの電気温水器が設置されているのかを再確認しましょう。
1-2.電気温水器の寿命の目安
電気温水器の種類ごとの寿命は、およそ次の年数が目安になっています。
- 貯湯式:10~15年程度
- 瞬間式:8~12年程度
- ハイブリッド型:15年前後
ただしこれは、使用頻度や使用する環境、メンテナンスの有無などの条件で変動します。たとえば水質の悪い地域で使用していると、タンク内部が劣化しやすく、早期に寿命を迎えてしまうケースなどがあります。
2.寿命が近づいた電気温水器に見られる兆候とは?
種類ごとに目安の寿命はあるものの、使用環境や使用頻度などによって、電気温水器の寿命は変動します。いつ訪れるかわからない電気温水器の寿命ですが、寿命が近づいた時に見られる兆候があるので、紹介していきます。
2-1.給湯温度が不安定
設定した温度よりぬるいお湯になってしまったり、急に水になってしまったりといった場合には、内部の温度センサーやヒーターに故障や異常のある恐れがあります。
2-2.タンク周辺の水漏れや湿り
電気温水器本体の下部分や周辺が濡れている場合には、タンク内部で腐食や配管の緩みが進行しているかもしれません。放置してしまうと、その間無駄な水道代が発生することにつながるので、早めに点検・修理を依頼する必要があります。
2-3.お湯の色や臭いに異変がある、ゴミが混ざる
茶色または黄色がかったようなお湯の出る場合や、ゴミのようなものが混ざる場合には、タンク内が錆びてしまっているかもしれません。異臭のする場合にも、タンク内の劣化が考えられます。
2-4.操作パネルにたびたびエラーコードが出る
操作パネルにエラーコードがたびたび出るのは、電気系統や制御基板になんらかの異常が生じているのかもしれません。リセットしても繰り返すことが多くなります。
2-5.故障ではないケースも
ブレーカーが落ちていた、プラグが抜けていた、配線が緩んでいたなど、単なる接触不良が原因のケースもあります。故障を疑う前に、まずは確認するのも忘れないようにしましょう。
3.寿命の来る前に交換する方が安心な理由とは?
電気温水器は寿命が来てしまう前、兆候が見られた時点で交換する方が安心です。それは、次のような理由からです。
3-1.突然の故障で生活に支障をきたしてしまう
ある日突然故障してしまい、まったくお湯が出なくなってしまうと、入浴や洗面、洗濯や食器洗いなど日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。これが寒い時期や、逆に汗をよくかく夏場だったら大変です。
3-2.修理が難しいケースが多い
製造から10年以上経った電気温水器は、メーカーで部品の製造を終了していることも多々あり、修理が困難なケースがあります。修理ができたとしても、部品の取り寄せなどで高額になりかねません。
3-3.突発的な出費を避けられる
急な故障で慌てて業者を依頼すると、なかなか予約できなかったり、割高な料金での契約になったりすることも多々あります。寿命が来る前に交換するのなら、時間に余裕をもって見積もり・比較ができ、費用も抑えられるでしょう。
3-4.修理よりコスパがよいケースも
寿命を迎える電気温水器は、メーカーで終売していたり、部品の販売をしていたりして、部品を入手するのにお金がかかる可能性があります。さらに高額な修理代金を支払って修理したとしても、寿命が来ればまた故障してしまう恐れも十分あり得ます。致命的な故障を迎える前に新しいものに交換した方が、結果的に安く済ませられるかもしれないのです。
4.電気温水器の寿命を延ばす方法はある?
ここからは、電気温水器の寿命をなるべく延ばせるような方法をいくつか紹介していきます。
4-1.年に一度は定期点検を受ける
年に一度は専門業者から定期点検を受けましょう。逃し弁や安全弁の動作確認、タンクの腐食チェックや漏電の有無などを確認してもらえます。劣化や故障が進行する前に早期に対応していくことで、致命的な故障を避けられ、長く安心して使えるでしょう。
4-2.配管周りをチェックする習慣を
タンク内の様子は目視が難しいものの、配管周りの水漏れはチェックが可能です。本体や配管周辺に水じみがないか、錆びていないか定期的に確認しましょう。
4-3.長期間不在にする際にはブレーカーをオフ
長期間不在にして電気温水器を使わない時は、ブレーカーを落とすのも有効です。故障のリスクを減らせるのはもちろん、待機電力の無駄を省けるメリットも期待できます。帰宅したら、タンクの水は一度抜いて、新しい水に入れ替えると安心でしょう。
4-4.スケールの蓄積に注意
地域によっては、水道水にミネラル分を多く含んでいることがあります。そのような水がタンクに貯められていると、スケールが付着しやすいので注意が必要です。スケールとは、水道水内のミネラル分が固着してしまったもので、配管に詰まったり給湯器の部品に付着したりすることで故障や効率低下を招く原因になります。定期的に湯抜きして、たまにタンク内を乾燥させるといいでしょう。
5.次に選ぶ給湯器、エコキュートはどう?電気給湯器との違いをチェック
電気温水器に寿命のサインが現れたら、時間に余裕をもって買い替えを検討し始めましょう。新しい電気温水器に買い替えるのはもちろん、エコキュートに買い替えるのが現在主流となっているのはご存知でしょうか。そこでここでは、電気給湯器とエコキュートの違いを見ていきます。
5-1.エコキュートと電気温水器、違いを簡単にチェック
電気温水器もエコキュートも、電気を使ってお湯を沸かすのは共通していて、オール電化住宅における給湯器のおもな選択肢に上げられる2種だといえます。ただしエコキュートと電気温水器では、お湯の沸かし方が異なります。エコキュートは、大気中の熱と電気を使ってお湯を沸かすヒートポンプ式給湯器です。電気だけでお湯を沸かす電気温水器と比べて、大気中の熱も使う分、消費電力が大幅に少なく、電気代の削減ができるのが特徴です。
5-2.電気温水器とエコキュートの比較表
電気温水器とエコキュートの性能など、比較表にまとめました。
比較項目 | 電気温水器 | エコキュート |
---|---|---|
初期費用 | 約15~30万円 | 約30~60万円 |
年間電気代 | 約7~10万円 | 約2~3万円 |
寿命 | 約10~15年 | 約10~15年 |
補助金の有無 | なし | あり |
省エネ性能 | △(低め) | ◎(高効率) |
設置スペース | 比較的コンパクトで屋内外に設置可能 | 屋外にある程度のスペースが必要 |
5-3.エコキュートなら補助金制度を活用できる
少ない電力でお湯を沸かせるエコキュートは、国や自治体の省エネ推進事業の対象になっているので、補助金を設置費用に充てられます。最大で10~17万円程度の補助を受けられる可能性もあるので、初期費用の高いのがデメリットのエコキュートも、初期費用を抑えて導入できるのです。今後も省エネ対策は年々強化されていくことが予想されるので、給湯器も電気温水器よりエコキュートが推奨される傾向になっていくでしょう。電気温水器から買い替える時の選択肢として、エコキュートは非常に有力です。
6.電気温水器からエコキュートへの買い替えがおすすめ!エコキュートの豊富なメリット
エコキュートと電気温水器の違いがわかったところで、ここからはエコキュートの豊富なメリットを紹介していきます。
6-1.光熱費が大幅に削減できる
エコキュートは電気以外に大気中の熱も活用してお湯を沸かします。そのため、電気のみでお湯を沸かす電気温水器と比べて、消費電力が大幅に少なくて済み、電気代の大幅な削減も期待できます。
6-2.二酸化炭素の排出量を削減できる
電気温水器と比べて、エコキュートは少ない電気でお湯を沸かせる、高効率の給湯器です。具体的には、エコキュートの年間給湯保温効率で紹介しましょう。エコキュートの年間給湯保温効率は3.0~4.2です。高機能モデルでは、4.2を誇るものも販売されています。3.0だったら、1kWhの電力で3.0倍の湯量のお湯が沸かせることを意味します。
電気温水器の年間給湯保温効率はおよそ0.7~0.8なので、エコキュートは電気温水器と比べて、3倍以上も効率よくお湯が沸かせるのです。
6-3.高温・高圧のシャワーにも対応
エコキュートの機種によっては高圧給湯にも対応しているので、複数個所で同時に使用したい時でも、豊富な湯量でシャワーが使えます。
6-4.沸き上げ予約・自動保温など機能が充実
エコキュートは、機種によるもののさまざまな機能が搭載されています。タイマー予約や省エネモード、自動湯張りなど、電気温水器にはない機能が使えるので、快適な暮らしが叶います。
6-5.断水時の備えにもなる
エコキュートも電気温水器も電気を使用する給湯器なので、停電の際には稼働できません。ところがエコキュートは非常用取水機能があり、非常時にも取り出して生活用水として使えるのです。大きな災害に対する備えの意識が高まっている昨今、エコキュートは防災対策としても注目されています。
7.まとめ
電気温水器の寿命は種類によって異なるものの、めやすは10~15年です。ただし、寿命が来てしまってから買い替えるのでは、さまざまな不都合が生じてしまいます。湯温が安定しなくなったり、水漏れや異臭などがするようになったりといった、寿命が近いサインがみられるようになったら買い替えを検討するのがおすすめです。買い替える際には、新しい電気温水器にするのはもちろん、エコキュートに買い替えるのも視野に入れるようにしましょう。エコキュートは快適性や経済性、環境への配慮にも優れた電気温水器なので、もっとも注目したい選択肢だといえます。