原料価格の高騰や経済環境の変化によって、電気の原価は高くなっております。そのため、旧一般電力事業者10社のうち、7社が2023年4月~6月までに規制料金の値上げを発表しています。
そこで今回は、記事執筆時点で公開されている情報の範囲で、電力会社の値上げについて解説します。電力会社ごとの値上げのシミュレーション結果や値上げの対策なども紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
なお、本記事は2023年3月30日時点での情報に基づいて作成しており、最新の情報と異なる場合があります。
多くの電力会社が規制料金の値上げを予定している
2023年3月末時点で、規制料金プランの値上げを予定している電力会社は以下の通りです。
値上げする時期 | 値上げ率 | 値上げ幅の目安 | |
---|---|---|---|
北海道電力 | 6月1日 | 平均32.0% | 2,838円 |
東北電力 | 4月1日 | 平均32.94% | 2,717円 |
東京電力 | 6月1日 | 平均29.31% | 2,611円 |
北陸電気 | 4月1日 | 平均45.84% | 2,692円 |
中国電力 | 4月1日 | 平均31.33% | 2,399円 |
四国電力 | 4月1日 | 平均28.08% | 2,205円 |
沖縄電力 | 4月1日 | 平均39.3% | 3,473円 |
規制料金プランは消費者保護の観点から値上げに上限が設けられており、値上げをするには国の認可が必要です。表の電力会社は既に経済産業大臣に値上げの申請を行っており、国の審査会が認めれば、規制料金は値上げします。
2023年3月末時点では、まだ国の審査会が終了していないため、規制料金プランの値上げが行われるかは未定ですが、電力会社の申請がすべて認められれば、大幅な値上げになる可能性が高いので注意しましょう。
なお、今回の値上げは規制料金プランのみならず、自由料金プランも見直されます。ただし、自由料金プランは規制料金プランのような大幅な値上げとなっておらず、場合によっては電気料金が若干下がる可能性もあります。
各電力会社の代表的な規制料金プランの値上げ後の金額と、影響について順番に解説します。なお、厳密には電気料金の見直しなので、見直し前・後と表記すべきですが、本記事では分かりやすさを優先して値上げ前・後と表記しております。
北海道電力の値上げ
北海道電力は2023年6月1日より、従量電灯Bの電力量料金を次のように値上げする予定です。
区分 | 単位 | 料金単価 | ||
---|---|---|---|---|
値上げ前 | 値上げ後 | |||
基本料金 | 10A | 1契約 | 341.00円 | 374.00円 |
15A | 511.50円 | 561.00円 | ||
20A | 682.00円 | 748.00円 | ||
30A | 1,023.00円 | 1,122.00円 | ||
40A | 1,364.00円 | 1,496.00円 | ||
50A | 1,705.00円 | 1,870.00円 | ||
60A | 2,046.00円 | 2,244.00円 | ||
電力量料金 | 120kWhまで | 1kWh | 23.97円 | 38.82円 |
120kWhを超え 300kWhまで |
30.26円 | 46.61円 | ||
300kWh超過分 | 33.98円 | 50.80円 | ||
最低月額料金 | 1契約 | 250.80円 | 434.50円 |
例えば、契約電流が30Aで、1カ月の使用電力量が260kWhの家庭の場合、値上げ前の電気料金が月額9,984円だったのに対して、値上げ後は13,202円に上がり、値上げ率は32.23%で、値上げ額は3,218円です。
東北電力の値上げ
東北電力は2023年4月1日より、従量電灯Bの電力量料金を次のように値上げする予定です。
区分 | 単位 | 料金単価 | ||
---|---|---|---|---|
値上げ前 | 値上げ後 | |||
基本料金 | 10A | 1契約 | 330.00円 | 385.00円 |
15A | 495.00円 | 577.00円 | ||
20A | 660.00円 | 770.00円 | ||
30A | 990.00円 | 1,155.00円 | ||
40A | 1,320.00円 | 1,540.00円 | ||
50A | 1,650.00円 | 1,925.00円 | ||
60A | 1,980.00円 | 2,310.00円 | ||
電力量料金 | 120kWhまで | 1kWh | 18.58円 | 31.79円 |
120kWhを超え 300kWhまで |
25.33円 | 38.68円 | ||
300kWh超過分 | 29.28円 | 42.89円 | ||
最低月額料金 | 1契約 | 261.80円 | 382.77円 |
例えば、契約電流が30Aで、1カ月の使用電力量が260kWhの家庭の場合、値上げ前の電気料金が月額8,565円だったのに対して、値上げ後は11,282円に上がり、値上げ率は31.72%で、値上げ額は2,717円です。
東京電力の値上げ
東京電力は2023年6月1日より、従量電灯Bの電力量料金を次のように値上げする予定です。
区分 | 単位 | 料金単価 | ||
---|---|---|---|---|
値上げ前 | 値上げ後 | |||
基本料金 | 10A | 1契約 | 286.00円 | 286.00円 |
15A | 429.00円 | 429.00円 | ||
20A | 572.00円 | 572.00円 | ||
30A | 858.00円 | 858.00円 | ||
40A | 1,144.00円 | 1,144.00円 | ||
50A | 1,430.00円 | 1,430.00円 | ||
60A | 1,716.00円 | 1,716.00円 | ||
電力量料金 | 120kWhまで | 1kWh | 19.88円 | 34.84円 |
120kWhを超え 300kWhまで |
26.48円 | 41.44円 | ||
300kWh超過分 | 30.57円 | 45.53円 | ||
最低月額料金 | 1契約 | 235.84円 | 355.52円 |
例えば、契約電流が30Aで、1カ月の使用電力量が260kWhの家庭の場合、値上げ前の電気料金が月額9,126円だったのに対して、値上げ後は11,737円に上がり、値上げ率は28.60%で、値上げ額は2,611円です。
北陸電気の値上げ
北陸電力は2023年4月1日より、従量電灯Bの電力量料金を次のように値上げする予定です。
区分 | 単位 | 料金単価 | ||
---|---|---|---|---|
値上げ前 | 値上げ後 | |||
基本料金 | 10A | 1契約 | 242.00円 | 286.00円 |
15A | 363.00円 | 429.00円 | ||
20A | 484.00円 | 572.00円 | ||
30A | 762.00円 | 858.00円 | ||
40A | 968.00円 | 1,144.00円 | ||
50A | 1,210.00円 | 1,430.00円 | ||
60A | 1,452.00円 | 1,716.00円 | ||
電力量料金 | 120kWhまで | 1kWh | 19.61円 | 29.82円 |
120kWhを超え 300kWhまで |
23.50円 | 36.37円 | ||
300kWh超過分 | 25.21円 | 39.27円 | ||
最低月額料金 | 1契約 | 181.30円 | 242.00円 |
例えば、契約電流が30Aで、1カ月の使用電力量が260kWhの家庭の場合、値上げ前の電気料金が月額7,264円だったのに対して、値上げ後は10,656円に上がり、値上げ率は46.69%で、値上げ額は3,392円です。
中国電力の値上げ
中国電力は2023年4月1日より、従量電灯Aの電力量料金を次のように値上げする予定です。
区分 | 単位 | 料金単価 | ||
---|---|---|---|---|
値上げ前 | 値上げ後 | |||
最低料金(最初の15kWhまで) | 1契約 | 384.71円 | 496.91円 | |
電力量料金 | 15kWhを超え 120kWhまで |
1kWh | 23.95円 | 31.39円 |
120kWhを超え 300kWhまで |
30.63円 | 40.95円 | ||
300kWh超過分 | 32.75円 | 44.08円 |
例えば、1カ月の使用電力量が260kWhの家庭の場合、値上げ前の電気料金が月額8,029円だったのに対して、値上げ後は10,428円に上がり、値上げ率は29.88%で、値上げ額は2,399円です。
四国電力の値上げ
四国電力は2023年4月1日より、従量電灯Bの電力量料金を次のように値上げする予定です。
区分 | 単位 | 料金単価 | ||
---|---|---|---|---|
値上げ前 | 値上げ後 | |||
最低料金(最初の11kWhまで) | 1契約 | 439.40円 | 532.68円 | |
電力量料金 |
11kWhを超え 120kWhまで |
1kWh | 22.92円 | 31.40円 |
120kWhを超え 300kWhまで |
29.54円 | 38.02円 | ||
300kWh超過分 | 33.05円 | 41.53円 |
例えば、1カ月の使用電力量が260kWhの家庭の場合、値上げ前の電気料金が月額7,915円だったのに対して、値上げ後は10,120円に上がり、値上げ率は27.90%で、値上げ額は2,205円です。
沖縄電力の値上げ
沖縄電力は2023年4月1日より、従量電灯の電力量料金を次のように値上げする予定です。
区分 | 単位 | 料金単価 | ||
---|---|---|---|---|
値上げ前 | 値上げ後 | |||
最低料金 (最初の10kWhまで) |
1契約 | 442.18円 | 575.82円 | |
電力量料金 | 11kWhを超え 120kWhまで |
1kWh | 26.93円 | 40.29円 |
120kWhを超え 300kWhまで |
32.47円 | 45.83円 | ||
300kWh超過分 | 34.45円 | 47.81円 |
例えば、1カ月の使用電力量が260kWhの家庭の場合、値上げ前の電気料金が月額7,027円だったのに対して、値上げ後は10,500円に上がり、値上げ率は49.42%で、値上げ額は3,473円です。
各電力会社の規制料金プランのシミュレーション結果
契約電流が30Aで、1カ月の使用電力量が260kWhの家庭でのシミュレーション結果は次の通りです。
値上げ率 | 値上げ額 | |
---|---|---|
北海道電力 | 32.23% | 3,218円 |
東北電力 | 31.72% | 2,717円 |
東京電力 | 28.60% | 2,611円 |
北陸電気 | 46.69% | 3,392円 |
中国電力 | 29.88% | 2,399円 |
四国電力 | 27.90% | 2,205円 |
沖縄電力 | 49.42% | 3,473円 |
上記の値上げ率や値上げ額はシミュレーション上の結果であり、実際の電気料金を保証するものではありません。また、従量電灯は使用電力量が多いほど電力量料金が割高になる傾向があるので、家庭によっては値上げ率や値上げ額がさらに高くなる可能性はあります。
そのため、上記のシミュレーションはあくまでも目安として参考にしてください。
2023年3月末時点で値上げが実施されるかは未定
規制料金の値上げは電気の原料が高騰している状況に対応できるように、規制料金を引き上げることが目的です。
電気料金の引き上げは国民生活に大きな影響を与えるため、2023年3月末時点でも国の審査会は結論を出しておらず、4月1日から値上げを予定していた電力会社はスケジュールの延伸を発表しています。
また、東京電力は3月30日に為替レートや燃料価格が落ち着いたことを受けて、平均値上げ率を29.3%から17.6%に引き下げて経済産業大臣に再提出を行っています。
そのため、値上げのタイミングや実施される値上げ率などは、2023年3月末時点でも正式に決まっていることが少ないという状況です。
値上げが来た時の対策
記事執筆時点では値上げの正確なタイミングは不明ですが、原料価格の高騰や企業の経営状況などを考えると夏から秋までには値上げが実行される可能性が高いです。
秋までに原料価格の高騰と為替レートが落ち着けば、値上げ率は30%前後から20%前後まで低下する可能性もあります。
また、政府は1kWhあたり7円の支援を2023年1月から始めているので、支援期間中は電気料金の値上げが実施されても、支出が増えにくいです。
しかし、政府の補助は2023年9月使用分までなので、冬になると一気に電気料金が高騰する恐れがあります。
そのため、今年の冬に備えて節電や太陽光発電システム、蓄電池、エコキュートなどの導入を検討してみましょう。
特に、給湯器をエコキュートに交換するとお湯を沸かすための年間ランニングコストが次のように大幅に節約できます。
エコキュート | 電気温水器 | 石油給湯機 | ガス給湯器 | |
---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約108,000円 | 約81,600円 | 約109,200円 |
東北電力エリア | 約21,600円 | 約80,400円 | 約73,200円 | 約104,400円 |
北陸電力エリア | 約20,400円 | 約82,800円 | 約72,000円 | 約118,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約24,000円 | 約102,000円 | 約67,200円 | 約78,000円 |
中部電力エリア | 約24,000円 | 約99,600円 | 約68,400円 | 約87,600円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約86,400円 | 約64,800円 | 約81,600円 |
中国電力エリア | 約22,800円 | 約91,200円 | 約68,400円 | 約112,800円 |
四国電力エリア | 約26,400円 | 約126,000円 | 約67,200円 | 約99,600円 |
九州電力エリア | 約18,000円 | 約78,000円 | 約66,000円 | 約108,000円 |
沖縄電力エリア | 約10,800円 | 不明 | 約56,400円 | 約54,000円 |
エコキュートの性能や家族の人数、ライフスタイルなどによって実際の年間ランニングコストは異なります。
しかし、エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器のため省エネ性能に優れており、お湯を沸かすための費用を大幅に節約できる可能性が高いです。
冬に電気料金が高くなる可能性があるので、今のうちにエコキュートのような省エネ性能の高い住宅機器の導入をおすすめします。
まとめ
以上が、各電力会社の値上げの解説です。規制料金の値上げは2023年4月~6月を予定しており、実施されれば現在の電気料金が30%前後上昇する可能性が高いです。
ただし、規制料金の値上げは国の審査で認められないと実施されず、2023年3月末時点ではいつ実施されるかわかりません。そのため、今のうちに値上げが実施された場合に備えて対策を検討してみましょう。
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