国土交通省が開催を予定している子育てエコホーム支援事業は、さまざまなリフォーム工事に対して補助金を給付します。対象となっているリフォーム工事にはエコキュートも含まれているため、エコキュートの設置を考えている方は内容をチェックしてみましょう。
そこで今回は、子育てエコホーム支援事業について解説します。エコキュートをお得に購入できる補助金制度も紹介するため、最後までご覧ください。
子育てエコホーム支援事業とは?
子育てエコホーム支援事業とは、子育て世帯や若者夫婦世帯がエコホーム支援事業者と契約し、長期優良住宅やZEH住宅を新築・購入する場合や、すべての世帯の人がリフォーム工事をする場合などに補助金が貰える制度です。
国土交通省が2024年3月下旬から受け付けを開始する予定で、条件を満たしていれば高額な補助金が貰えます。
ただし、本補助金制度は条件が複雑なため、1つずつ確認しましょう。
子育てエコホーム支援事業のパターンは3つ
本補助金制度は次の3つのパターンに分かれています。
- 子育て世帯や若者夫婦世帯がエコホーム支援事業者と契約して長期優良住宅やZEH住宅を新築する
- 子育て世帯や若者夫婦世帯がエコホーム支援事業者と契約して長期優良住宅やZEH住宅を購入する
- すべての世帯の人がエコホーム支援事業者と契約して対象となるリフォーム工事を行う
本補助金制度は新築注文住宅と新築分譲住宅を購入する場合と、リフォーム工事を依頼する場合で対象要件や補助金額などが異なります。
子育て世帯と若者夫婦世帯の定義
本補助金制度における子育て世帯と若者夫婦世帯の定義は次の表のとおりです。
定義 | |
---|---|
子育て世帯 | 申請時点において、2005年4月2日以降に生まれた子どもがいる世帯 |
若者夫婦世帯 | 申請時点において夫婦であり、いずれかが1983年4月2日以降に生まれた世帯 |
つまり、子育て世帯とは申請時点で19歳以下の子供がいる家庭を指し、若者夫婦世帯とは申請時点において夫婦で、なおかつ片方が41歳以下の家庭を指します。
上記を満たしている方が長期優良住宅またはZEH住宅を新築や購入時に1戸あたり40万円~100万円の補助金が貰えます。
長期優良住宅とZEH住宅の定義
本補助金制度における長期優良住宅とZEH住宅の定義とは、次の表のとおりです。
定義 | |
---|---|
長期優良住宅 | 長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられている住宅で、所管行政庁(都道府県、市町村等)にて認定を受けたもの |
ZEH住宅 | 強化外皮基準に適合し、再生可能エネルギーなどを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量が削減される性能を有するもの |
わかりやすく解説すると、長期優良住宅は「耐久性が高くて長く住める家」、ZEH住宅は「年間のエネルギー収支がゼロやプラスになる家」のことです。
定義を満たしている家を子育て世帯や若者夫婦世帯が新築する、あるいは購入する際に、1戸あたり40万円~100万円の補助金が貰えます。
リフォーム工事の定義
本補助金制度のリフォーム工事の定義は以下のとおりです。
対象となるリフォーム工事 | 概要 | |
---|---|---|
必須 | 開口部の断熱改修 | 窓や扉を断熱性の高い製品に変えるリフォーム工事 |
外壁、屋根・天井または床の断熱改修 | 外壁や屋根の断熱性能を向上させるリフォーム工事 | |
エコ住宅設備の設置 | 太陽熱利用システムや給湯器などを省エネ性能の高い機器に変えるリフォーム工事 | |
上記の工事と一緒に行う場合のみ | 子育て対応改修 | 家事負担の軽減や防犯性の向上などに関連したリフォーム工事 |
防災向上改修 | 防災性を向上するためのリフォーム工事 | |
バリアフリー改修 | 手すりや段差解消などのバリアフリーに関連したリフォーム工事 | |
空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置 | 冷房能力の高いエアコンを設置するリフォーム工事 | |
リフォーム瑕疵保険等への加入 | 工事中の瑕疵保険への加入を補助する |
対象となるリフォーム工事は8種類ありますが、必須となっているのは次の3つのみです。
- 開口部の断熱改修
- 外壁、屋根・天井または床の断熱改修
- エコ住宅設備の設置
上記に含まれないリフォーム工事は、上記のリフォーム工事と同時に行う場合のみ補助金の対象となります。たとえば、バリアフリー改修を行いたくても、単体では申し込むことはできません。
本補助金制度では条件を満たしているリフォーム工事を行うことで、1戸あたり上限20万円の補助金が貰えます。なお、補助金額はリフォーム工事ごとに異なり、合算されます。
エコキュートを購入したい場合はリフォーム工事がおすすめ
エコキュートとは、電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器です。ヒートポンプ技術を用いているため、ガス給湯器や電気温水器に比べてお湯を沸かすためのランニングコストが抑えられている省エネ住宅機器です。
太陽光発電システムとの相性が良いため、ZEH住宅の条件やリフォーム工事の対象です。そのため、エコキュートの購入で本補助金制度の補助金を受け取ることはできます。
しかし、子育てエコホーム支援事業を活用してエコキュートを購入したい場合は、リフォーム工事で申し込みましょう。
ZEH住宅の新築、購入時には1戸あたり40万円~100万円と高額な補助金が貰えますが、次のような問題点があります。
- 世帯条件がある
- エコキュート以外の条件も満たす必要がある
ZEH住宅の新築や購入で補助金を貰えるのは、子育て世帯と若者夫婦世帯のみです。子供の年齢や夫婦の年齢などの条件を満たしていない世帯では、申し込むことができません。
また、新築や購入の場合、ZEH住宅を目指す必要があります。
ZEH住宅は「年間エネルギー収支がゼロかプラスの家」のため、エコキュートのほかに断熱性能に優れた窓や屋根、太陽光発電システム、IHクッキングヒーターなどを設置してある住宅を新築、あるいは注文します。
つまり、エコキュートだけを設置したい方や、新築住宅や分譲住宅を購入する予定がない方には不向きです。
一方、リフォーム工事の場合は、すべての世帯の人が条件を満たしていれば補助金を受けることができます。
そのため、子育て世帯と若者夫婦世帯でエコキュートを含めたZEH住宅を新築、購入する予定がない方で、エコキュートを購入したい場合は、リフォーム工事での申し込みを検討してみましょう。
子育てエコホーム支援事業のリフォーム工事で申し込む場合の条件
エコキュートを設置して、子育てエコホーム支援事業のリフォーム工事で補助金を貰いたい方は、次の条件を確認しましょう。
- エコホーム支援事業者と契約する
- 条件を満たしているエコキュートを購入する
条件を順番に解説します。
エコホーム支援事業者と契約する
「エコホーム支援事業者」とは、住宅の所有者に代わって交付申請等の手続きを行い、交付を受けた補助金を工事発注者に還元する者として、あらかじめ本補助金事業に登録をした工事施工業者です。
エコホーム支援事業者以外と契約してエコキュートを設置しても補助金の対象にはならないため注意しましょう。
エコホーム支援事業者は本補助金制度の公式サイトで確認することができます。
条件を満たしているエコキュートを購入する
エコキュートには年間給湯保温効率や年間給湯効率という数値があり、数値が高いほど省エネ性能が高いという証です。
本補助金制度では、年間給湯保温効率・年間給湯効率が3.0以上のエコキュートが補助金の対象になります。3.0を下回っている機種では補助金が貰えないため、購入時に補助金の対象になるか確認しましょう。
なお、寒冷地仕様のエコキュートの場合は年間給湯保温効率・年間給湯効率が2.7以上の機種が対象です。
子育てエコホーム支援事業のリフォーム工事で貰える補助金額
エコキュートを設置して、子育てエコホーム支援事業のリフォーム工事で申請すると、1戸あたり3万円の補助金が貰えます。
エコキュートの性能が高かったり、数が多かったりしても補助金の金額は増えません。
なお、本補助金制度は複数のリフォーム工事に対する補助金が合算されて支給されます。1戸あたりの上限は20万円です。
ただし、工事発注者が子育て世帯と若者夫婦世帯なら、条件を満たすことで補助金額の上限額が1戸あたり30万円~60万円にアップする可能性があります。
子育てエコホーム支援事業のリフォーム工事の注意点
エコキュートを設置して、子育てエコホーム支援事業のリフォーム工事に申し込む場合は、次のことに注意しましょう。
- 補助額が5万円以上でないと申し込めない
- 給湯省エネ2024事業のほうが優れている
上記の注意点を順番に解説します。
補助額が5万円以上でないと申し込めない
本補助金制度のリフォーム工事は、補助額の合計が5万円以上にならないと申し込むことができません。
エコキュートの場合は性能や台数に関わらず、一律3万円の補助金のため、エコキュートだけを購入して申し込むことはできないです。そのため、エコキュート以外のリフォーム工事も一緒に行う必要があります。
おすすめは蓄電池で、設置する場合の補助金は1戸あたり6万4千円です。蓄電池があれば、電気代の安い時間帯に買電して蓄えておき、高い時間帯の使用電気量を減らすことができるため、電気代の節約につながります。
ほかにも、住宅を長持ちして便利にできるリフォーム工事が揃っているため、本補助金制度を活用したい場合は複数のリフォーム工事を申し込みましょう。
給湯省エネ2024事業のほうが優れている
国は省エネ性能の高い住宅機器の購入に補助金を出す傾向があります。
給湯省エネ2024事業も国が行っている補助金制度の1つで、省エネ性能の高い給湯器の設置に対して補助金を受け取ることが可能です。
エコキュートは給湯省エネ2024事業における補助金の対象機器で、1台につき8万円の補助を受けられます。
また、給湯省エネ2024事業ではエコキュートの性能や機能によって最大5万円の補助金が加算され、前の給湯器が電気温水器なら撤去費用として5万円が貰えます。
つまり、給湯省エネ2024事業では、電気温水器からエコキュートへの買い替えに対して最大18万円の補助金を受け取れる可能性があります。
- 子育てエコホーム支援事業のリフォーム工事…1戸あたり3万円
- 給湯省エネ2024事業…1台につき最大18万円
また、給湯省エネ2024事業は戸建住宅への設置なら2台まで補助金の給付を認めているため、二世帯住宅でエコキュートを2台設置するというケースで両方とも補助金の対象にすることが可能です。
つまり、エコキュートの補助金だけを比較すると、子育てエコホーム支援事業のリフォーム工事よりも、給湯省エネ2024事業のほうが優れていると言えます。
子育てエコホーム支援事業と給湯省エネ2024事業は重複しての申請ができません。エコキュートで補助金を受け取りたいなら、どちらか片方のみとなります。
子育てエコホーム支援事業は複数のリフォーム工事が対象となっていることが魅力ですが、エコキュートだけ設置して補助金を受け取りたい場合は、給湯省エネ2024事業がおすすめです。
なお、子育てエコホーム支援事業と給湯省エネ2024事業の併用はできます。エコキュートは給湯省エネ2024事業で申し込み、ほかの箇所のリフォーム工事を子育てエコホーム支援事業で申し込むといった方法は可能なため、検討してみましょう。
給湯省エネ2024事業については次の記事で解説しているため、参考にしてください。
関連記事
給湯省エネ2024事業の重要なポイントは?注意事項やエコキュートの選び方なども解説
まとめ
以上が、子育てエコホーム支援事業の解説になります。子育てエコホーム支援事業は次のような方におすすめの補助金制度になります。
- 子育て世帯と若者夫婦世帯で条件を満たした住宅を新築、購入したい方
- リフォーム工事を行いたい方
エコキュートはリフォーム工事の対象になっておりますが、補助金額は性能や台数に関わらず1戸あたり3万円までです。給湯省エネ2024事業に比べると少ないため、エコキュートのみを設置したい方は給湯省エネ2024事業の申し込みを検討してみましょう。
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