少ない電力で効率よくお湯を沸かせるエコキュートは、二酸化炭素の排出量を大幅に削減できるので、エコな給湯器として多くの住宅で選ばれています。エコの面から考えると、ガスや電気を使わない太陽熱温水器こそ最適だと思われるものの、設置している住宅の割合は約3%にとどまっています。それは、なぜなのでしょうか。この記事では太陽熱温水器について、仕組みや特徴、エコキュートとの違いについて詳しくお話ししていきます。さらに、これから導入するなら太陽熱温水器かエコキュートか、どちらがおすすめなのかについても触れていきます。どちらを導入しようか迷っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
1.太陽熱温水器とは?仕組みや特徴を解説
まずは、太陽熱温水器とはどのような給湯器なのか、仕組みや特徴について見ていきましょう。
1-1.太陽熱温水器とは?
太陽熱温水器とはその名の通り、太陽光の熱でお湯を沸かす給湯器のことです。太陽熱温水器は1970年代に広まったものの、2000年代になると太陽光発電など競合が現れたことで、普及率は低下していきました。ところが近年、再び注目を浴びてきています。
1-2.太陽熱温水器の仕組み
太陽熱温水器は、太陽光を浴びて熱を集めるソーラーパネルと、水を溜めるタンクからなります。おもに屋根に設置するソーラーパネルが太陽光を浴びることで熱を溜め込み、タンクの水を沸かす仕組みになっています。
太陽熱温水器はいくつか種類があるものの、「平板型太陽熱温水器」と「真空管型太陽熱温水器」の2種類が主流です。平板型太陽熱温水器は、太陽の熱を集める黒い板状の集熱器を水と触れさせて、熱交換してお湯を沸かすシステムです。真空管型太陽熱温水器は、魔法瓶に似た構造で熱エネルギーを集めてお湯を沸かします。
また、給湯方法によっても、「自然落下式」と「水道直結式」の2種類に分けられます。自然落下式は、屋根で沸いたお湯を直接階下にある湯船に流す、シンプルな給湯方式です。屋根で沸いたお湯を給湯器に貯めて供給するものは、水道直結式です。
1-3.太陽光発電との違いは?
屋根にソーラーパネルを載せて太陽光エネルギーを利用する点で、太陽熱温水器と太陽光発電は似ています。ただし、太陽熱温水器が太陽の光でお湯を沸かすのに対し、太陽光発電は電気を生み出すという点で大きく違います。
2.太陽熱温水器のメリットとは?
太陽熱温水器には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
2-1.ランニングコストがほぼゼロ
太陽熱温水器は、太陽光さえあればお湯を沸かせて、ガスや電気は必要ありません。そのため、設備の導入やメンテナンスなどの費用はかかるものの、日常のランニングコストはほぼゼロです。電気やガスを使わないので二酸化炭素の排出量もゼロで、脱炭素社会に貢献できる、地球にやさしい設備だといえます。
2-2.電気料金・ガス料金の削減
給湯のための電気代またはガス代は、季節に関わらず必要になります。電気やガスに頼らず給湯できる太陽熱温水器なら、給湯にかかる電気代またはガス代をカットできます。
2-3.変換効率が高い
太陽光発電と比較して、太陽熱温水器は変換効率が高いといわれています。太陽光発電の変換効率が20%程度なのに対し、太陽熱温水器の変換効率は50%から60%にもおよびます。太陽光のエネルギーを効率よく活用し、お湯を沸かせられるのが太陽熱温水器のメリットです。
3.太陽熱温水器のデメリットとは?
太陽熱温水器にはさまざまなメリットがあるものの、実際に導入する前に、デメリットについても把握しておく必要があります。
3-1.天候に左右されてしまう
太陽熱温水器最大のデメリットは、変換効率が天候に大きく左右されてしまう点です。太陽光の弱い冬季や曇り・雨の続く日などは、十分なお湯を確保できないことになりかねません。また、強い光の降り注ぐ夏場には効率よくお湯が沸かせるものの、太陽光発電のように余った分の電気を売ったりはできません。
3-2.屋根への負荷が大きい
太陽熱温水器は、屋根に載せる設備の重さがネックです。200kg以上もある太陽熱温水器を屋根に設置するには、耐荷重量を確認する必要があります。そして、場合によっては補強工事が必要になることもあります。
3-3.導入コストが安いとは限らない
太陽熱温水器は導入コストが安いと思われがちですが、それは自然落下式などシンプルな仕組みのものに限ります。設置や配管の工事なども必要で、総額で考えると導入コストが安いとは一概にはいえません。
3-4.設置場所に制限がある
太陽熱温水器のパネルは、日当たりのよい位置に設置しなければなりません。南向きの屋根なら効率よく集熱できるものの、北向きの屋根に設置してもほとんど機能しないからです。また傾斜のない屋根では水はけが悪くなってしまい、設置には向きません。さらに日陰になってしまう周囲の建物や樹木などの存在も考慮して、設置場所を決める必要があります。
4.徹底比較!太陽熱温水器とエコキュートの違い
ここからは、太陽熱温水器とエコキュートの違いを比較していきます。
4-1.必要なエネルギーの違い
太陽熱温水器は、ガス・電気を使わずにお湯を沸かすのに対し、エコキュートは電気を使用する点で違いがあります。ただしエコキュートは大気中の熱も使って効率よく加熱するので、使用する電力量は少なくて済みます。
4-2.燃料代の違い
太陽熱温水器はガス・電気共に不使用なので、太陽熱温水器の方がお得に感じるかもしれませんが、天候や季節に左右される面は否めません。天候の悪い日が続いた場合には、補助ヒーターでお湯を沸かすため、電気代の発生することもあります。
また、エコキュートは空気の熱も組み合わせることで、少ない電力で効率よくお湯を沸かします。使用する電力も単価の安い夜間の電力を使うのでお得です。
4-3.導入費用の違い
太陽熱温水器の導入費用は、自然落下式など単純な仕組みのものなら20~30万円程度であり、エコキュートが設置費込みでおよそ50万円なのと比較すると、導入費用が抑えられるといえます。ただし水道直結式の場合には、50万円から100万円ほどかかり、太陽熱温水器も種類によってはエコキュート以上に導入費用がかかってしまうのです。
4-4.搭載されている機能の違い
機能 | 太陽熱温水器 | エコキュート |
---|---|---|
自動湯張り | 不可 | ボタン一つで自動湯張り・ストップ可能 |
タンク残量表示 | なし | 液晶画面やアプリで確認可能 |
スマホ連動 | 不可 | 機種により可能 |
追い焚き | 基本的になし(ガス併用型なら可能) | 可能 |
温度調節機能 | 日照や気温に左右される | 設定した温度で安定的に供給 |
タンク残量の確認 | 感覚・目視頼り | リモコンで確認可能 |
節電モード・学習機能 | なし | 使用習慣を学習して運転を自動最適化する |
配管自動洗浄 | なし | 搭載モデルもあり |
凍結防止機能 | 自然解凍に頼るしかない | 自動ヒーターや循環機能で凍結を防止する |
上記のように、太陽熱温水器よりエコキュートの方が機能性の面で優れているといえます。太陽熱温水器は非常にシンプルな構造のため、電気的制御も少なく、搭載できる機能は限定的です。現代のライフスタイル向けなのはエコキュートに軍配が上がります。
4-5.設置条件・設置場所の違い
太陽熱温水器は、屋根上に設置スペースが必要で、設備の重さで屋根に負担がかかります。エコキュートは屋外に設置するため、地面にスペースが必要になります。
地震などの災害時には、屋根に重い設備を載せているのは破損や落下の恐れがあって危険です。地面に設置されるエコキュートなら、屋根に負担をかけず万が一の際にも安全です。
4-6.耐用年数・寿命の違い
太陽熱温水器の耐用年数は、およそ15年から20年です。一方で、エコキュートは高機能ゆえに部品も多い分、部品の劣化などもあり耐用年数の目安は10年から15年です。ただし太陽熱温水器は市場が縮小傾向で、製造終了したメーカー・機種が多く、部品の入手が困難なケースもあります。一方エコキュートは、保証・アフターメンテナンスの充実したメーカーのものを選べば安心です。
4-7.補助金制度・買い替えやすさ
エコキュートは、国や自治体の省エネ事業補助金制度の対象で、条件を満たせば補助が受けられ、初期費用を抑えて導入しやすくなっています。一方で太陽熱温水器の導入には、現在補助金は用意されていません。
5.今後導入するなら、太陽熱温水器よりエコキュートがおすすめの理由とは?
ここからは、今後導入するなら、太陽熱給湯器よりエコキュートがおすすめの理由をお話ししていきます。
5-1.多機能で快適
エコキュートは、自動湯張りや追い焚き機能、残湯量表示機能や温度設定機能など利便性の高い機能が豊富に搭載されています。エコキュートなら、ライフスタイルに合わせた、快適で柔軟性の高い給湯管理が可能になります。
5-2.天候に左右されない
充分な温水を確保するのに天候の影響を大きく受け太陽熱温水器と異なり、エコキュートなら天候や季節に関係なく、安定した給湯が叶います。
5-3.太陽光発電との相性
エコキュートは一般的に、電気の単価が安い夜間電力を利用してお湯を沸かすものの、「昼間沸き上げ」機能によって、日中の余剰電力で効率よくお湯を沸かすこともできます。よりエコな暮らしを実現するのに、太陽光発電とエコキュートの併用は、非常に相性がいいといえるでしょう。
5-4.補助金が利用できる
エコキュート導入を対象にした国・地方自治体の補助金は複数あるので、導入する負担を軽減できます。
5-5.アフターサポートが充実・部品が手に入る
太陽熱温水器は市場が縮小しているので、故障・劣化の際にも部品が入手できなかったり、サポートが終了していたりするケースが多々あります。その点エコキュートなら、大手のメーカーが製造・販売していて、保証や修理体制がしっかり整っています。
5-6.設置場所の自由度が高い
太陽熱温水器は200kgを超える重量の設備を屋根に載せなければなりません。一方でエコキュートなら、地面に設置できるので、屋根に負担をかけずに設置できます。
5-7.将来的なZEHや蓄電池と連携しやすい
エコキュートは、ZEH仕様の住宅との親和性も高いのが特徴です。将来的には蓄電池やHEMS(家庭内エネルギー管理)との連携も想定されていて、次世代の住宅設備にも対応できます。
6.まとめ
太陽熱温水器は、電気もガスも使わずに太陽光の熱エネルギーを使ってお湯を沸かす給湯システムです。二酸化炭素の排出量を減らす、エコな生活を実現するためにエコキュートが注目されているものの、エコキュートはお湯を沸かすのに電気を使います。それなら太陽熱温水器の方がよさそうだと思われるものの、太陽熱温水器にはさまざまなデメリットも存在します。天候に左右されず、豊富に搭載されたさまざまな機能を使って快適に生活したい人には、エコキュートがおすすめです。
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