エコキュートは電気で動かす給湯器なので、停電になったら大半の機能が利用できなくなります。
ただし、停電中でも可能になることはあるので、一般的なガス給湯器に比べて万が一の事態に備えられることは大きなメリットです。
そこで今回は、エコキュートが停電したときにできることや、復旧したあとの対処法を解説します。
エコキュートは停電中でも使える?
エコキュートは電気と空気の熱でお湯を沸かす給湯器です。ヒートポンプユニットがお湯を沸かし、貯湯タンクユニットで溜めておき、リモコンユニットで給湯温度をコントロールします。
そのため、停電中はお湯を沸かすことはできません。
なお、エコキュートの機種によっては停電中でも貯湯タンクユニットにお湯が溜まっていれば、蛇口やシャワーからお湯を出すことは可能です。
ただし、停電中はエコキュートのリモコンユニットが動かないため、温度調整はできず、タンク内の設定温度のままお湯が出る可能性があります。特に高温のお湯が出る場合があるため、やけどには十分注意しましょう。
停電中のエコキュートができること・できないこと
次の表は、停電中のエコキュートができることやできないことをまとめたものです。
停電中のエコキュート | |
---|---|
できること | 蛇口からお湯を出す シャワーからお湯を出す 貯湯タンクユニットからお湯を組み出す |
できないこと | お風呂のお湯はり 新しいお湯の沸き上げ |
貯湯タンクユニット内部にお湯が溜まっていれば、蛇口やシャワーからお湯を出すことは可能です。また、貯湯タンクユニットを直接操作して、お湯を組み出すこともできます。
一方で、フルオートやオートタイプのエコキュートに搭載されている自動お湯はり機能は停電中に利用できません。
また、新しいお湯を沸かすこともできないので、タンク内部のお湯を使いすぎないように注意しましょう。
エコキュートは溜めてあるお湯を生活用水として利用できる
エコキュートは貯湯式給湯器なので、貯湯タンクユニットにお湯を溜めておく仕組みです。溜めてあるお湯は、タンクを操作することで、直接組み出すことができます。
一般的なエコキュートの貯湯容量は370Lあるので、停電中でも2Lペットボトル185本分のお湯を生活用水として使用可能です。
エコキュートによって多少異なりますが、次の手順でお湯を直接組み出せます。
- 1. 貯湯タンクの漏電遮断器をオフにする
- 2. 給水止水栓、もしくは家の水道メーター横の止水栓が閉まっているか確認
- 3. 逃し弁レバーを上げる
- 4. 非常用水取出口にホースを差し込む
- 5. 非常用取水栓を開けてお湯を出す
- 6. 必要な分を出したら非常用取水栓を閉める
- 7. 逃し弁レバーを上げる
- 8. 非常用水取出口のホースを外す
なお、エコキュートは貯湯式給湯器で、貯湯タンク内部は空気に触れていませんが、お湯を沸かした時点で含まれている塩素が蒸発しているので、飲用水としての基準を満たしていません。
また、エコキュートを使用していると貯湯タンク内部に汚れやゴミなどが溜まっていく可能性も否定できません。
そのため、エコキュートメーカーは身体を拭く、皿やコップなどの食器を洗う、トイレを流すなどの生活用水としての使用は可能としていますが、飲用水としての使用を推奨していないです。
飲用水は別で用意する必要はありますが、2Lペットボトル185本相当の生活用水を利用できるのは、防災の面から考えるとメリットが大きいと言えます。
停電したときにやるべきこと
停電が発生したら、エコキュートの漏電遮断器をオフにしましょう。
漏電遮断器とは、エコキュートの貯湯タンクユニットについている装置です。エコキュート内部で漏電が発生した場合、遮断器が自動的に降りて電源がオフになり、漏電を防ぎます。
漏電を放置していると機器に余計な負担をかけ、火災や事故を起こすリスクが高まります。
つまり、エコキュートの漏電遮断器は安全装置であり、電源のオン・オフを切り替える装置です。
漏電遮断器がオンのままだと、停電から復旧したときにエコキュートへ電気が流れます。
急激な電圧の変化は電化製品に余計な負担をかけるため、漏電遮断器がオンのままではエコキュートが故障する可能性を否定できません。
そのため、停電から復旧する前に漏電遮断器をオフにしましょう。
なお、エコキュートによって漏電遮断器の位置やパネルの開け方は異なります。貯湯タンクユニットにあるのは共通していますが、実際の位置や操作方法は公式サイトや取扱説明書で確認しましょう。
停電から復旧したときにやるべき対処法
停電から復旧したら、漏電遮断器をオンにしましょう。オフのままでは電気が流れないので、エコキュートの沸き上げやお湯はり機能が利用できません。
漏電遮断器をオンにしたら、次は時刻設定を確認しましょう。
エコキュートは深夜にお湯を沸かす貯湯式給湯器です。深夜にお湯を沸かす理由の1つに時間帯によって電気料金単価が安くなる料金プランと契約していることが挙げられます。
例えば、関西電力エリアでエコキュートを導入すると「はぴeタイムR」に加入します。
はぴeタイムR | 単位 | 料金単価 | ||
---|---|---|---|---|
基本料金 | 最初の10kWまで | 1契約 | 2,409.40円 | |
10kWを超える1kWにつき | 1kW | 416.94円 | ||
電気料金単価 | デイタイム(平日10時~17時) | 夏季 | 1Wh | 28.87円 |
その他季 | 26.24円 | |||
リビングタイム(平日7時~10時と17時~23時、休日扱い日の7時~23時) | 22.80円 | |||
ナイトタイム(毎日23時~翌7時) | 15.37円 |
デイタイムに比べて、ナイトタイムのほうが電気料金単価は抑えられているので、エコキュートの電気料金は抑えられます。
しかし、停電で時刻設定がリセットされてしまうと、電気料金単価の安い時間帯に沸き上げが行われなくなり、電気料金が高くなる可能性があります。
そのため、停電から復旧したら、エコキュートの時刻設定を確認しましょう。
また、停電からある程度時間が経っていると、貯湯タンク内部の湯温が下がっており、利用できるお湯の量が少ない場合もあります。
お湯を大量に使う必要があるなら、手動で沸き上げを行うと良いです。
エコキュートとガス給湯のどちらがおすすめ?
ガス給湯器も停電中はお湯を沸かすことができません。
また、大抵のガス給湯器はお湯を利用したいときに沸かす瞬間式給湯器なので、エコキュートのような貯湯タンクユニットはないです。
ガス給湯器には貯湯タンクユニットがないため、エコキュートのようにお湯を溜めておき、万が一のときに生活用水として使用する使い方はできません。
つまり、防災の面で考えたらガス給湯器よりもエコキュートのほうがメリットはあります。
ほかにも、エコキュートはガス給湯器に比べて省エネ性能の高い給湯器なので、お湯を沸かすためのランニングコストが抑えられていることがメリットです。
次の表は、エコキュートとほかの給湯器の年間ランニングコストをシミュレーションしたものになります。
エコキュート | ガス給湯器 | 電気温水器 | 石油給湯機 | |
---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約54,000円 | 約104,400円 | 約184,800円 | 約78,000円 |
東北電力エリア | 約48,000円 | 約98,400円 | 約189,600円 | 約70,800円 |
北陸電力エリア | 約42,000円 | 約112,800円 | 約166,800円 | 約70,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約37,200円 | 約73,200円 | 約158,400円 | 約81,600円 |
中部電力エリア | 約25,200円 | 約81,600円 | 約100,800円 | 約67,200円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約75,600円 | 約87,600円 | 約63,600円 |
中国電力エリア | 約43,200円 | 約108,000円 | 約176,400円 | 約67,200円 |
四国電力エリア | 約44,400円 | 約93,600円 | 約193,200円 | 約66,000円 |
九州電力エリア | 約20,400円 | 約102,000円 | 約84,000円 | 約64,800円 |
沖縄電力エリア | 約27,600円 | 約62,400円 | 不明 | 約55,200円 |
実際のランニングコストは家族の人数やお湯の消費量によって異なりますが、エコキュートは省エネ性能の高い給湯器なので、お湯を沸かすためのランニングコストを大幅に節約することはできます。
つまり、防災の面だけでなく家計のことも考えると、ガス給湯器よりもエコキュートのほうがおすすめです。
停電に備えて用意しておきたい住宅設備
停電に備えて用意しておきたい住宅設備は太陽光発電です。
エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器なので、ご自身で電気さえ確保できれば停電中でもお湯を沸かせる可能性があります。
太陽光発電は太陽光エネルギーを電気に変換して発電する設備で、エコキュートの相性は非常に良いです。
停電が発生しても、太陽光発電システムがあれば自前で電気を発電できるので、エコキュートを通常通り動かすことができます。
また、太陽光発電システムがあれば、日中に発電した電力で家電製品を動かせるので、電力使用量の削減にもつながります。電気料金単価の高い日中にエコキュートを動かせれば、エコキュートの電気代の節約も可能です。
太陽光発電システムと一緒に蓄電池があれば、発電できない夕方から夜間の時間帯をカバーできます。蓄電池単体でも、事前に溜めておいた電力で停電中に給電するといった使い方ができます。
太陽光発電システムと蓄電池があれば、停電中でも普段通りに近い生活を送れるので、エコキュートを導入している方は一緒に検討しましょう。
ただし、停電と一緒に断水が起きているとお湯を沸かすことはできません。
まとめ
以上が、エコキュートが停電したときにできることの解説です。エコキュートは貯湯式給湯器なので、貯湯タンク内部にお湯が溜まっていれば、蛇口やシャワーからお湯を出すことができます。
また、太陽光発電システムや蓄電池があれば、普段通りにお湯を沸かし、お湯はりなどが可能です。
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