エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器で、ガス給湯器や電気温水器に比べてランニングコストが安く、水道光熱費が節約できると言われています。しかし、エコキュートに買い替えたからと言って、電気代が安くなるとは限りません。
そこで今回は、エコキュートに変えると電気代が本当に安くなるのか、わかりやすく解説します。電気代の節約を考えている方は、最後までご覧ください。
エコキュートは電気で動く給湯器
エコキュートは一般的なガス給湯器と違い、電気で動く給湯器システムです。
エアコンの室外機のような形をしたヒートポンプユニットが外気を取り込み、空気を圧縮して生み出した熱を利用してお湯を沸かし、貯湯タンクユニットで貯めておきます。必要に応じて各所に給湯するシステムなので、貯湯式給湯器に分類されます。
電気で動く給湯器には電気温水器もありますが、電気温水器は電気のみでお湯を沸かすのに対して、エコキュートは電気と空気の熱を利用していることが最大の違いです。
空気の熱を利用してお湯を沸かすため、電気温水器よりも利用する電力は少なくなり、ほかの給湯器に比べてランニングコストが抑えられるという特徴があります。
次の表は、同じ湯量を沸かした場合の給湯器ごとの年間ランニングコストを比較したものです。
エコキュート | 電気温水器 | 石油給湯機 | ガス給湯器 | |
---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約108,000円 | 約81,600円 | 約109,200円 |
東北電力エリア | 約21,600円 | 約80,400円 | 約73,200円 | 約104,400円 |
北陸電力エリア | 約20,400円 | 約82,800円 | 約72,000円 | 約118,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約24,000円 | 約102,000円 | 約67,200円 | 約78,000円 |
中部電力エリア | 約24,000円 | 約99,600円 | 約68,400円 | 約87,600円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約86,400円 | 約64,800円 | 約81,600円 |
中国電力エリア | 約22,800円 | 約91,200円 | 約68,400円 | 約112,800円 |
四国電力エリア | 約26,400円 | 約126,000円 | 約67,200円 | 約99,600円 |
九州電力エリア | 約18,000円 | 約78,000円 | 約66,000円 | 約108,000円 |
沖縄電力エリア | 約10,800円 | 不明 | 約56,400円 | 約54,000円 |
実際のランニングコストは家族の人数やライフスタイルなどによって異なりますが、ほかの給湯器に比べてエコキュートのランニングコストが抑えられているのが分かります。
例えば、関西電力エリア内でガス給湯器からエコキュートへ交換した場合、ランニングコストが年間約61,200円節約できます。電気温水器からエコキュートへ交換した場合は、年間約66,400円の節約が可能です。
つまり、ガス給湯器や電気温水器からエコキュートへ交換すれば、お湯を沸かすために必要なランニングコストを大幅に節約できる可能性はあります。
エコキュートで電気代は節約できるの?
結論から申し上げますと、エコキュートに交換すればお湯を沸かすためのランニングコストを節約できる可能性は高いですが、家庭全体の電気代が節約できるとは限りません。
エコキュートに買い替えると、電気料金のプランを季節別時間帯別電灯に切り替えます。
季節別時間帯別電灯とは、時間帯や季節によって1kWhあたりの電力単価が変動する料金プランで、金額は電力会社によって異なりますが、昼間の電力単価は高く、深夜の電力単価が安い傾向があります。
例えば、関西電力エリアでエコキュートを購入すると、「はぴeタイムR」に切り替えます。
はぴeタイムR | 単位 | 料金単価 | ||
---|---|---|---|---|
基本料金 | 最初の10kWまで | 1契約 | 2,200円 | |
10kWを超える1kWにつき | 1kW | 396.00円 | ||
電力量料金 | デイタイム (平日10時~17時) |
夏季 | 1Wh | 28.96円 |
その他季 | 26.33円 | |||
リビングタイム
(平日7時~10時と17時~23時、休日扱い日の7時~23時) |
22.89円 | |||
ナイトタイム
(毎日23時~翌7時) |
15.20円 |
一般的なエコキュートは電気代の単価が安くなる深夜にお湯を沸かします。そのため、お湯を沸かすためのランニングコストが抑えられます。
しかし、季節別時間帯別電灯は昼間の電気料金単価が高い傾向があり、同じ関西電力の従量電灯Aに比べると割高です。
従量電灯A | 単位 | 料金単価 | |
---|---|---|---|
最低料金 | 1契約 | 341.01円 | |
電力量料金 | 15kwWh~120kWh | 1kWh | 20.31円 |
120kWh~300kWh | 25.71円 | ||
300kWh~ | 28.70円 |
従量電灯Aは従量課金制のため、使用電力量が多いほど電気料金が高額になります。例えば、1ヵ月の使用電力量が260kWhの場合、次の計算式で電気代が求められます。
- 341.01円(15kWhまでの料金単価)+(20.31円×105kWh)+(25.71円×140kWh)+(28.70円×0kWh)=6072.96円
実際の電気代は上記の計算式に燃料費調整額や振替割引、再生可能エネルギー発電促進賦課金などを含めますが、今回は除外します。
次の表は、1ヵ月の使用電力量が260kWhの家庭で「はぴeタイムR」に切り替えた場合の電気代をシミュレーションしたものです。なお、契約電力の算定は10kWとし、季節は夏季とします。
時間帯ごとの使用電力量の割合 | 1ヵ月の電気代 |
---|---|
デイタイム:30% リビングタイム:30% ナイトタイム:40% |
約7,825円 |
デイタイム:25% リビングタイム:25% ナイトタイム:50% |
約7,546円 |
デイタイム:20% リビングタイム:30% ナイトタイム:50% |
約7,467円 |
上記の表の金額はあくまでもシミュレーションの結果で、実際の電気代と異なる可能性はあります。
しかし、1ヵ月の使用電力量が260kWの場合、従量電灯Aは約6,072円に対して、はぴeタイムRは約7,467円~約7,825円なので、電気代が高くなります。
つまり、エコキュートに交換したからと言って、電気代が安くなるとは限りません。
エコキュートに交換しても節約にはならない?
ガス給湯器や電気温水器からエコキュートに交換した場合、家族の人数やライフスタイルなどによっては、電気代が上昇する可能性はあります。日中に在宅している方の人数が多いほど、電気代は高額になりやすいです。
一方で、ガス給湯器や電気温水器からエコキュートへ交換すれば、お湯を沸かすためのランニングコストが年間約61,200円~約66,400円節約できます。
仮に、エコキュートに交換して電気代が毎月2,000円上昇しても、年間の上昇額は24,000円です。
つまり、エコキュートに交換したことで電気代が上昇したとしても、お湯を沸かすためのランニングコストを大幅に抑えられるので、水道光熱費を節約できる可能性は十分に考えられます。
電気代も節約したい場合
日中の使用電力量が多い方や、電気代も節約したい方は太陽光発電システムや蓄電池の購入をおすすめします。
太陽光発電システムは日中に電気を発電して自宅で消費したり、電力会社に売却したりできます。そのため、使用電力量(買電量)を減らすことができ、電気代の節約に繋がります。
また、蓄電池があれば電気代の安い時間帯に電力会社から電気を購入し、電気代が高い日中の使用電力量を抑えることが可能です。
蓄電池は太陽光発電システムを設置していなくても運用でき、停電時には日常に近い生活を送ることができるので、万が一の時に備えておけることも魅力的です。
ほかにも、最新のエコキュートとして「おひさまエコキュート」があります。
おひさまエコキュートは従来のエコキュートと違い、日中にお湯を沸かすことを想定して開発されています。
外気温が高い日中にお湯を沸かすため、従来のエコキュートよりもエネルギーの消費量が抑えられ、お湯を沸かしてから使用するまでの時間が短いので放熱ロスも少ないです。
そのため、従来のエコキュートよりもランニングコストをさらに抑えることができます。
ただし、おひさまエコキュートは太陽光発電システムとの連携が前提のエコキュートです。おひさまエコキュートを導入したい方は、太陽光発電システムの導入も検討する必要があります。
エコキュートの初期費用は高額
ガス給湯器や電気温水器からエコキュートに交換することで水道光熱費の節約は期待できますが、エコキュートの初期費用に注意しましょう。
エコキュートはメーカーや機種にもよりますが初期費用の相場が400,000円~600,000円で、ガス給湯器の初期費用は150,000円~250,000円です。
仮に、ガス給湯器とエコキュートの初期費用の差額を450,000円とした場合、ランニングコストを年間約61,200円節約すれば、7年~8年で回収はできます。
しかし、エコキュートに交換したことで電気代が増えていると回収できるまでの期間が長くなる恐れがあります。
そのため、ガス給湯器や電気温水器からエコキュートへ交換する場合は、ランニングコストや電気代などをシミュレーションしておくと良いです。
まとめ
以上が、エコキュートの電気代に関する解説です。エコキュートは省エネ性能の高い給湯器のため、ガス給湯器や電気温水器から交換すると、お湯を沸かすためのランニングコストを大幅に節約できる可能性は高いです。
しかし、季節別時間帯電灯に切り替えるので、家庭全体の電気代が上がる可能性はあります。
お湯を沸かすためのランニングコストの節約が大きいので、水道光熱費の節約は期待できますが、家族の人数や在宅時間、ライフスタイルによっては電気代が負担になると覚えておきましょう。
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