住宅設備という点ではエコキュートとオール電化は同じカテゴリーに属します。しかし、両者は根本的に異なるものです。エコキュートはヒートポンプという仕組みを活用した給湯機であり、オール電化は住宅で使用する全てのエネルギーを電気で賄う住宅を指すからです。
今回はエコキュートとオール電化の違いについて解説しますので、両者の違いを知りたい方や導入を考えている方に、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
エコキュートとオール電化は何が違う?
エコキュートとオール電化は全く違うものですが、時折、混同されることがあります。ここでは、それぞれの意味やメリット・デメリットについて解説します。
エコキュートとは
エコキュートはヒートポンプという仕組みを採用した高効率給湯器の一種です。ヒートポンプとは、空気の中にある熱エネルギーを集めてお湯を暖める熱として利用する仕組みです。これを利用して、従来型の電気温水器よりも少ない約3分の1の電力でお湯を沸かすことが可能です。
メリット
エコキュートの最大のメリットは給湯コストを大幅に下げられることです。効率がよいとされている高効率給湯機同士で比較してみましょう。
名称 | 使用するエネルギー | 初期費用 | ランニングコスト | 発電 |
---|---|---|---|---|
エコキュート | 電気 | 中 | 低 | なし |
エコジョーズ | ガス | 低 | 中 | なし |
エネファーム | ガス | 高 | 高 | あり |
給湯器のコストは初期費用とランニングコストの2つです。
エコキュートは初期費用こそエコジョーズより高くなりますが、他の高効率給湯器よりもエネルギー効率が高いため、中長期的にはランニングコストが最も低くなり、経済的メリットが得られる給湯器だといえます。
また、環境面へも有益です。
使用する電力量が少ないと、環境負荷を減らすことができるため二酸化炭素の排出削減につながります。現在の日本は火力発電に大きく依存しているため、電力使用量が多くなるほど二酸化炭素の排出を増加させてしまいます。使用電力量が少なくなれば、二酸化炭素の排出量も減るため、地球温暖化防止に貢献できます。
デメリット
デメリットとして挙げられるのが、停電時に使用できなくなることやガス給湯器よりも水圧が低い可能性があること、湯切れを起こす可能性があることです。
先ほどの比較表を見ると、エコキュートは電気を使用してお湯を沸かす仕組みであり、自ら発電できない機器であることがわかります。そのため、停電で電気が止まってしまうと給湯できなくなります。
しかし、蓄電池を併用していると充電の状況や容量次第でエコキュートを稼働させることが可能です。
また、エコキュートにすると水圧が弱くなる、という問題が以前から弱点として取り上げられていました。
しかし、近年は水圧の高い機種も登場していますので、以前ほど決定的なデメリットではなくなりつつあります。
最も注意しなければならないのがタンク内のお湯が無くなってしまう湯切れです。
湯切れを防ぐには、あらかじめ多めに沸かす「沸き増し」を活用する、お湯の使用量を減らす、太陽光発電を設置しているなら発電した電力で昼間にもお湯を沸かす、といった対策を講じる必要があります。
オール電化とは
エコキュートがヒートポンプという仕組みを活用した給湯機であり、給湯時に電気を使用することをふまえ、オール電化との違いを見てみましょう。
オール電化とはオール電化住宅のことで、住宅内で使用するすべてのエネルギーを電気で賄う住宅のことを指します。寒冷地を除き、一般的な住宅はエネルギー源として電気とガスの2種類を使用しています。
電気 | 家電製品、照明 |
---|---|
ガス | 給湯、調理、暖房 |
オール電化住宅は、これまでガスが担ってきた給湯や調理、暖房の全てを電気で賄う住宅といってもよいでしょう。それにともなって、オール電化住宅専用の設備が必要となります。
給湯 | エコキュート、電気温水器 |
---|---|
調理 | IHクッキングヒーター |
暖房 | エアコン、床暖房、蓄熱ヒーター |
東日本大震災の発生により電力不足となると、オール電化住宅の市場は大きく縮小してしまいました。しかし、近年は二酸化炭素の排出削減など環境面で注目されたこともあって、オール電化住宅が再び普及しつつあります。
メリット
ガスからオール電化住宅へ変更するメリットは光熱費が削減できることやキッチン周辺の清掃がしやすいこと、安全性を高められることなどです。
一口にガスといっても、都市ガスとプロパンガスでコストは大きく異なり、プロパンガスは都市ガスの1.8〜2倍程度高いと言われています。
プロパンガスからオール電化に変えた場合、光熱費の差をより実感できるでしょう。
IHクッキングヒーターを導入すれば、従来型のガスコンロよりも清掃がしやすくなるというメリットもあります。
デメリット
オール電化住宅のデメリットは、初期費用が高額になりがちなことや調理器具が制限されること、電気代が高騰すると光熱費が大幅に上昇することなどです。
オール電化住宅にするとエコキュートやIHクッキングヒーターなど、オール電化に対応する機器の導入が必要となるため、初期費用がかさんでしまいます。ガスから電気に切り替えるための工事費用も必要となるため、導入コストは決して安くありません。
IHクッキングヒーターを使用する場合は、IH専用の器具を導入しなければならないため、購入できる調理器具が制限されてしまいます。
電気代が高騰すると、光熱費が急上昇することも覚えておかなければなりません。円安になったりエネルギー資源の価格が高騰したりすれば、火力発電の燃料である天然ガスや石炭の価格が上昇するため、電気代が大幅に上昇します。
ただ、電気代が上昇する場合は天然ガスの価格が常用していることがほとんどであるため、ガスの価格も上昇しますので、決定的なデメリットとまでは言えないでしょう。
オール電化住宅でエコキュートを使用する相乗効果
オール電化住宅は住宅のエネルギーを全て電気でまかなう住宅のことで、エコキュートは少ない電力で効率よくお湯を沸かす給湯器であることがわかりました。ここからは、オール電化住宅でエコキュートを使用することで得られる相乗効果について解説します。
火災リスクを抑えられる
エネルギー源を全て電気でまかなうと、住宅で火を使う必要がなくなります。調理でIHクッキングヒーターを使い、給湯でエコキュートを使用すると一切火を使わないため、火災のリスクを大きく減らすことができます。
消防庁が発表した出火原因のデータをみると、建物火災20,167件のうち、「コンロ」は2,713件(13.5%)で第1位でした。タバコや電気機器、配線器具、ストーブを上回っていることを踏まえると、ガスコンロは注意して扱わなければならない器具であることがわかります。
出典:消防庁:https://www.fdma.go.jp/pressrelease/statistics/items/20231129boujyou.pdf
エコキュートを導入するだけではなく、家全体をオール電化にすることで火災のリスクを大きく抑えられるといえるでしょう。
光熱費の支払いを一本化できる
光熱費の支払いを一本ができることも大きなメリットです。エコキュートだけを導入しても、ガスコンロなどがそのままであれば導入後も電気とガスを併用することになります。オール電化住宅にできれば、電気とガスの支払いを一本化できるため、ガス料金の基本料金を支払う必要がなくなり、光熱費を削減できます。
また、支払いを一本化すれば支出を把握しやすくなるため資金管理が楽になるというメリットもあります。
災害時にガスより早く復旧できる
オール電化住宅やエコキュートには「災害に弱い」というイメージがあります。災害時には停電に関する報道が多く、電気は災害に弱いと思われても不思議ではありません。しかし、普及という側面から見ると、別の視点が見えてきます。
災害発生後、電気・水道・ガスが9割程度復旧するまでの日数は以下の通りでした。
東日本大震災 | 阪神淡路大震災 | |
---|---|---|
発生日時 | 2011年3月11日 | 1995年1月17日 |
電気 | 6日 | 2日 |
水道 | 24日 | 37日 |
ガス | 34日 | 61日 |
出典:tenki.jp:https://tenki.jp/bousai/knowledge/48ae160.html
東日本大震災も阪神淡路大震災も、広い範囲で被害が発生した大災害でした。電気・水道・ガスなどのインフラは大ダメージを受けましたが、どちらの場合も電気の復旧が最も早く、水道、ガスがそれに続きました。
2024年1月1日に発生した能登半島地震の場合は、地形が険しく復旧が厳しい状況であったにもかかわらず、1か月で9割の電力が復旧しています。水道の9割が復旧したのは2か月半が経過した3月中旬でした。
これにより、電気のみをエネルギー源とするオール電化住宅は災害からの復旧が早いことがわかります。
太陽光発電や蓄電池を活用して光熱費を削減できる
オール電化住宅やエコキュートと相性が良いのが太陽光発電です。電気を自宅で生み出せる太陽光発電を活用することで、電力会社から購入する電気の量を減らせるため光熱費を大幅に削減できるからです。
蓄電池を併用することで終日、太陽光発電で生み出した電力を使うことも可能となるため、さらなる光熱費削減も期待できます。
また、太陽光発電とエコキュートを組み合わせた「おひさまエコキュート」を使用すると夜間にお湯を沸き上げる必要がなくなり、エコキュートで問題となることもある騒音トラブルを引き起こすリスクを減らすことができるでしょう。
このように、オール電化住宅でエコキュートを使用することで、太陽光発電の余剰電力を最大限活用し、光熱費を大幅に下げることが可能となるのです。
まとめ
今回はエコキュートとオール電化の違いやそれぞれのメリット・デメリット、併用することで生じる相乗効果などについて解説しました。
オール電化住宅のメリットを最大化するのに必要な設備の一つがエコキュートであるといえます。
エコキュートのデメリットの一つに初期費用の高さがありますが、専門店で購入することで大幅にコストダウンできます。
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地域密着型のためアフターフォローも手厚く行っていますので、オール電化住宅にすることを機にエコキュートの導入を考えているのであれば、sky-ecoキュートに是非ご相談下さい。