エコキュートは自然冷媒を用いてお湯を作る給湯器です。ガス給湯器や電気温水器に比べてお湯を作るためのランニングコストが安く、省エネ性能が高いことが特徴になります。
しかし、自然冷媒と言われても、分からない方もいるかもしれません。そこで今回は、エコキュートの仕組みや自然冷媒の意味、メリットなどの基本的な知識を分かりやすく解説します。エコキュートが気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。
エコキュートとは?
エコキュートの正式名称は「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」です。
一般的なガス給湯器はガスを燃焼させてお湯を作り、必要に応じて各所に給湯します。
一方で、エコキュートは自然界に存在する物質のなかで冷凍や空調用の冷媒になる「自然冷媒(二酸化炭素)」を用いてお湯を作る給湯器です。二酸化炭素を利用しているため、冷媒としての効率に優れているだけでなく、地球環境に優しい給湯器システムになります。
エコキュートの仕組み
エコキュートはヒートポンプユニット、貯湯タンクユニット、リモコンユニットの3つに分かれており、それぞれ次のような役割を担っています。
- ヒートポンプユニット…お湯を作るための熱を生みだす機器
- 貯湯タンクユニット…お湯を貯めて保温しておく機器
- リモコンユニット…湯量や湯温を設定、管理する機器
エコキュートは空気の熱を自然冷媒(二酸化炭素)が吸収して、圧縮により温度を上げてお湯を作ります。実際の仕組みは以下の通りです。
- 1. 大気中の空気をヒートポンプユニットが吸い込む
- 2. 空気の熱を自然冷媒(二酸化炭素)が取り込む
- 3. 自然冷媒(二酸化炭素)がヒートポンプユニットの圧縮機で圧縮される
- 4. 圧縮されて高温となった自然冷媒(二酸化炭素)が熱を水に移す
- 5. 熱を移されて高温になったお湯が貯湯タンクユニットに貯まる
自然冷媒(二酸化炭素)は熱を取り込み、水に熱を伝える働きがあります。また、体積を小さくすると加えられたエネルギーが熱に変わるため、高温になるという特性もあります。
つまり、エコキュートは取り込んだ空気の熱を圧縮し高温にして、熱交換器にてお湯を作ります。熱交換器にて熱を伝えた自然冷媒は膨張弁で体積が大きくなり、温度が下がることで再び空気の熱を吸収できるようになります。
エコキュートを動かすエネルギーは電気ですが、お湯を作るためのエネルギーは空気の熱です。そのため、他の給湯器システムに比べて必要なるコストが少ないのが特徴です。
また、自然冷媒(二酸化炭素)は工場の排ガスをリサイクルし、繰り返し使用されるため、環境への影響が少ないエコな給湯器システムになります。
なお、ヒートポンプ式給湯器のなかには自然冷媒に二酸化炭素を使用しない機種もあります。自然冷媒に二酸化炭素を使用しないヒートポンプ式給湯器や電気給湯器は、エコキュートと呼ばず、「ヒートポンプ式給湯器」と表記されています。
エコキュートのメリット
エコキュートのメリットは以下の通りです。
- お湯を作るためのランニングコストが安い
- 補助金が出る
上記のメリットを順番に解説します。
お湯を作るためのランニングコストが安い
エコキュートの最大のメリットは、ガス給湯器や電気温水器に比べて、お湯を作るためのランニングコストが安いことです。次の表は、同量・同温のお湯を作るために必要な年間ランニングコストをまとめたものです。
エコキュート | 電気温水器 | 石油給湯機 | ガス給湯器 | |
---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約108,000円 | 約81,600円 | 約109,200円 |
東北電力エリア | 約21,600円 | 約80,400円 | 約73,200円 | 約104,400円 |
北陸電力エリア | 約20,400円 | 約82,800円 | 約72,000円 | 約118,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約24,000円 | 約102,000円 | 約67,200円 | 約78,000円 |
中部電力エリア | 約24,000円 | 約99,600円 | 約68,400円 | 約87,600円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約86,400円 | 約64,800円 | 約81,600円 |
中国電力エリア | 約22,800円 | 約91,200円 | 約68,400円 | 約112,800円 |
四国電力エリア | 約26,400円 | 約126,000円 | 約67,200円 | 約99,600円 |
九州電力エリア | 約18,000円 | 約78,000円 | 約66,000円 | 約108,000円 |
沖縄電力エリア | 約10,800円 | 不明 | 約56,400円 | 約54,000円 |
エコキュートはガスを使わず、電気で動く給湯器システムです。電気も自然冷媒(二酸化炭素)を圧縮、膨張するためや、リモコンユニットでコントロールするために必要なので、他の給湯器システムに比べてランニングコストが抑えられています。
実際に発生するランニングコストは住んでいる家族の人数やライフスタイル、お湯の使用量などで変動しますが、電気温水器の約4分の1、ガス給湯器の約3分の1程度に節約できるのは魅力的です。
補助金が出る
エコキュートは他の給湯器システムに比べて省エネ性能が高いと認められているため、住んでいる自治体によっては補助金が出ることもあります。
例えば、東京都が行っている「東京ゼロエミポイント」は省エネ性能が高い給湯器に買い替えた都民を対象に、LED割引券と商品券を配布する補助金制度です。
年間給湯保温効率や年間給湯効率が3.0以上のエコキュートを購入した場合、合計10,000円分の補助金が貰えます。
地方自治体によって貰える金額や条件は異なります。例えば、東京ゼロエミポイントのように一律で数万円がもらえるケースもあれば、機器の購入費ではなく補助対象工事費に対して一定割合の金額を補助金として出すケースもあります。
補助金制度は大抵が自治体に住んでいる方を対象としているので、人によっては貰えない可能性もあります。エコキュートの購入を考えている方は、住んでいる市区町村に問い合わせをしてみましょう。
エコキュートに交換した場合の注意点
ガス給湯器からエコキュートへ交換した場合は、次のことに注意しましょう。
- エコキュートは貯湯式給湯器
- 電気料金のプランが変更になる
上記の注意点を順番に解説します。
エコキュートは貯湯式給湯器
エコキュートはヒートポンプユニットで作ったお湯を、貯湯タンクユニットで貯めておく貯湯式給湯器です。つまり、作ったお湯を貯めておき、必要に応じて各所に給湯するというやり方です。
一方、一般的なガス給湯器は給湯する際に水道水を温める直圧式給湯器です。貯湯式給湯器と直圧式給湯器の主な特徴は以下の通りになります。
主な特徴 | |
---|---|
貯湯式給湯器 | お湯を貯めて給湯する お湯を使いすぎると湯切れが発生する 腐食や耐久性に優れている |
直圧式給湯器 | お湯を作ってそのまま給湯する 湯切れのリスクはない 水道の水圧を利用できる |
貯湯式給湯器はお湯を貯めて、必要に応じて給湯します。基本的に、エコキュートは電気料金の安い時間帯である夜中に翌日分のお湯を作るのですが、使いすぎると湯切れが発生する可能性はあります。
また、ガス給湯器のような直圧式給湯器は温めたお湯を、そのまま各所に給湯するため、水道水の水圧を利用できます。一方、貯湯式給湯器はお湯を貯めておくときに減圧を行うので、水道水の水圧をそのまま利用できません。
そのため、ガス給湯器に比べてエコキュートはシャワーの勢いが弱いと言われています。最近は、水圧が300kPa前後のエコキュートが登場しており、2ヵ所同時に給湯したり、3階に風呂を設置可能になったりしていますが、ガス給湯器に比べて弱く感じる方はいます。
電気料金のプランが変更になる
ガス給湯器からエコキュートへ交換する場合、契約している電気料金のプランが変更になる可能性があります。
ガス給湯器を利用している家庭の多くは、電気を使う量に応じて課金される従量制料金のプランに入っています。しかし、エコキュートを購入すると、夜間蓄熱式機器を対象とした、季節別時間帯別電灯契約に切り替えることが可能です。
季節別時間帯別電灯契約は、季節や時間帯によって1kwあたりの電気料金が変動する料金プランになります。例えば、関西電力の場合は、エコキュートに交換すると、「はぴeタイムR」に加入できます。
はぴeタイムR | 単位・時間帯 | 料金単価 | |
---|---|---|---|
基本料金 | 最初の10kwまで | 2,200円 | |
10kwを超えると1kwにつき | 396円 | ||
電力量料金 | デイタイム(昼間時間) | 夏季 | 28.96円 |
その他 | 26.33円 | ||
リビングタイム(生活時間) | 22.89円 | ||
ナイトタイム(夜間時間) | 15.20円 |
「はぴeタイムR」は平日午前10時~午後5時までをデイタイム、平日午前7時~午前10時と午後5時~午後11時、及び休日扱い日の午前7時~午後11時までをリビングタイム、午後11時~翌日午前7時をナイトタイムと分けています。
エコキュートが稼働するのは、主にナイトタイムである午後11時~翌日午前7時までです。つまり、電気料金が安い時間にお湯を作るため、エコキュートのランニングコストは安くなっています。
しかし、デイタイムの電力量料金は従量制料金に比べると高くなっていることがあります。そのため、日中に電力消費が多い家庭は、太陽光パネルや蓄電池などの設置をして、日中の電力消費を節約しましょう。
まとめ
以上が、エコキュートの解説になります。エコキュートは空気の熱を吸収した自然冷媒(二酸化炭素)を圧縮し、生み出した熱で水を温める給湯器です。自然冷媒(二酸化炭素)は熱を交換した後は膨張して、再びお湯を作るために使用されます。
電気を必要としますが、お湯を作るためのエネルギーは空気の熱です。そのため、エコキュートは他の給湯器に比べてランニングコストが抑えられており、省エネ性能が高い給湯器なので、自治体によっては補助金が出ます。
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