先進的窓リノベ事業は国が行っている補助金制度で、窓や窓ガラスの交換に特化した内容です。住んでいる地域が条件に含まれていないので、窓や窓ガラスのリフォームを考えている方は検討してみましょう。
ただし、本補助金制度には上限額や注意点などがあるので、事前に内容を知っておくと良いです。
そこで今回は先進的窓リノベ事業について解説します。国が行っている、ほかの補助金制度も解説するので、最後までご覧ください。
先進的窓リノベ事業とは?
先進的窓リノベ事業は経済産業省と環境省が主導している補助金制度です。既存住宅の窓の断熱性能を高めるリフォーム工事に対して補助金を給付することで、冷暖房費負担の軽減やCO2排出量削減などを目的としています。
本来の正式名称は別にありますが、本記事では分かりやすさを優先して先進的窓リノベ事業と記載します。
次の表は本事業の概要をまとめたものです。
概要 | |
---|---|
交付申請期間 |
2023年3月31日~2023年12月31日 (※予算上限に達した時点で終了予定) |
補助対象工事 | 窓や窓ガラスのリフォーム |
補助額 | 5万円~最大200万円 |
本事業の内容を次項より順番に解説します。
先進的窓リノベ事業の交付申請期間
交付申請期間は2023年3月31日~2023年12月31日までを予定しています。ただし、予算額1,000億円に達した時点で終了する予定なので、タイミングによっては申請できない可能性があります。
なお、申請期間は2023年3月31日以降ですが、申請の対象となる契約日の期間は2022年11月8日~2023年12月31日です。2023年3月31日前に契約したリフォームが補助の対象になる可能性はあるので、確認してみましょう。
先進的窓リノベ事業の補助対象工事
補助金の対象工事は、本事業に登録している事業者と契約して行った窓やガラスのリフォーム工事です。次の表は、補助対象工事の概要をまとめたものになります。
概要 | |
---|---|
補助対象者 |
下記の両方を満たした方 窓リノベ事業者と工事請負契約を締結して、窓やガラスのリフォーム工事を行う 窓のリフォーム工事をする住宅の所有者である |
補助対象となる住宅 | 既存住宅 |
補助対象となる工事 |
下記の1と2を満たし、3に該当しない工事 1-1.ガラスの交換 1-2.内窓の設置 1-3.外窓の交換 2.補助額5万円以上の工事 3.補助の対象にならないリフォーム工事 |
上記の内容を順番に解説します。
先進的窓リノベ事業の補助対象者
本事業は登録を行っている「窓リノベ事業者」とリフォーム工事をする住宅の所有者が結んだ工事が対象です。原則として、窓リノベ事業者が必要書類を用意して交付を申請するので、依頼主が手続きを行うことはありません。
先進的窓リノベ事業の補助対象となる住宅
リフォーム工事なので、補助対象となる住宅は建築から1年が経過している住宅のみです。なお、戸建や集合住宅などは問わないので、アパートやマンションでも申し込むことができます。
先進的窓リノベ事業の補助対象となる工事
本事業の対象となる工事は以下の通りです。
内容 | |
---|---|
ガラス交換 | ガラスのみを交換して、既存のサッシをそのまま利用する工事 |
内窓設置 | 窓の内側に新しい窓を付けたり、交換したりする工事 |
外窓交換 |
窓のガラスを取り外し、新たな窓枠覆いかぶせて複層ガラスに交換する工事 窓のガラスや窓枠を取り外し、新たな窓枠と複層ガラスに交換する工事 |
本事業は工事の内容や対象製品などによって補助額の求め方が異なります。原則として、補助額が合計で5万円以上になる工事が補助金の対象です。
なお、次のようなリフォーム工事は補助の対象にならないので注意しましょう。
- 経費が補助額に満たない工事
- ドアを交換する工事
- ドアに取り付けられているガラスを交換する工事
- 店舗兼住宅で住宅以外の部分の窓やガラスの交換工事
- 所有者が購入した設備を業者が取り付ける工事
- リース設備や中古品を用いた工事
先進的窓リノベ事業の補助額
先進的窓リノベ事業は、開口部ごとに行った対象工事の内容に応じた補助金の合計が交付申請額になります。次の表は補助額の内容をまとめたものです。
戸建住宅・低層集合住宅の補助額 | 中高層集合住宅 | |
---|---|---|
ガラス交換 | 0円~48,000円 | |
内窓設置 | 0円~124,000円 | |
外窓交換 | 0円~183,000円 | 0円~221,000円 |
交換する窓枠やガラスは商品によってグレードがP(SS)、S、A、Bの順番で決まっています。Bの商品に交換しても補助額は0円で、P(SS)やSでもサイズが小さいと補助額も少額になります。
補助額は5万円~200万円までで、同じ住宅で複数回工事を行う場合も、上限額200万円の範囲内で申請が行います。ただし、すべての条件を満たす必要があるので、最低金額5万円を超えなければなりません。
例えば、ガラス交換を1ヵ所だけの工事では、補助額の最低金額5万円を超えることができないので、ほかの工事を一緒に行う必要があります。
先進的窓リノベ事業の注意点
本事業の注意点は以下の通りです
- ほかの補助金との併用は注意が必要
- 先進的窓リノベ事業で取得した窓やガラスは一定期間所有する
上記の注意点を順番に解説します。
ほかの補助金との併用は注意が必要
先進的窓リノベ事業は国が行っている補助金制度で、国庫を財源としています。そのため、同じ窓などに対して本事業とほかの国の補助制度を併用することはできません。なお、地方自治体の補助制度で国庫を財源としていないものは併用可能です。
また、記事執筆時点で国は「住宅省エネ2023キャンペーン 補助事業」を行っており、本事業以外に「こどもエコすまい支援事業」と「給湯省エネ事業」を行っています。
どちらも国庫を財源とした補助金制度ですが、補助対象が重複していない場合に限り、併用は可能です。それぞれ、対象となる工事や機器は以下の通りです。
- 先進的窓リノベ事業…窓やガラスのリフォーム工事
- こどもエコすまい支援事業…省エネ性能の高いリフォーム工事
- 給湯省エネ事業…省エネ性能の高い給湯器
先進的窓リノベ事業と給湯省エネ事業は補助の対象が異なるので、併用は可能です。
ただし、こどもエコすまい支援事の省エネ性能の高いリフォーム工事には、窓やガラスのリフォームが含まれています。そのため、同じ窓やガラスに対して、先進的窓リノベ事業とこどもエコすまい支援事業を併用することはできません。
窓やガラスの交換は先進的窓リノベ事業で行い、ほかのリフォーム工事をこどもエコすまい支援事業で行うことは可能です。
- 同一の窓・窓ガラスのリフォーム工事は併用できない
- 別々の窓・窓ガラスのリフォーム工事は併用可能
- 窓・窓ガラスを本事業で、ほかのリフォーム工事をこどもエコすまい支援事業で申請することは可能
同じ窓で先進的窓リノベ事業とこどもエコすまい支援事業で重複申請を行っていると、両方の申請が無効となり、返金の措置をとられる可能性があるので注意しましょう。
先進的窓リノベ事業で取得した窓や窓ガラスは一定期間所有する
本事業で取得した窓や窓ガラスは、補助金の振り込みを受けた後に10年間所有する義務が発生します。国や事務局の承認なく譲渡や交換、貸付などはできません。
そのため、本事業を申請した住宅を売却、貸付、処分する場合は、国や事務局に相談しましょう。
こどもエコすまい支援事業と給湯省エネ事業との違いは?
記事執筆時点で、国は「住宅省エネ2023キャンペーン 補助事業」を行っており、次のような補助金制度があります。
先進的窓リノベ事業 | こどもエコすまい支援事業(リフォーム) | 給湯省エネ事業 | |
---|---|---|---|
補助対象工事・機器 | 窓や窓ガラスのリフォーム |
下記のリフォーム 窓やドア 外壁、屋根・天井又は床 エコ住宅設備の設置 子育て対応 防災性向上 バリアフリー 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置 リフォーム瑕疵保険等への加入 |
エコキュート エネファーム ハイブリッド給湯器 |
補助金 | 5万円~200万円 | 5万円~30万円 (※条件を満たすと上限金額が引き上げられる) |
5万円・15万円 |
対象となる住宅 | 既築住宅 | 既築住宅 |
新築住宅 既築住宅 |
ポイント | 窓や窓ガラスのみですが、補助金の上限額が高額 | 複数のリフォーム工事が対象となり、若者夫婦・子育て世帯向け | 給湯器に特化しており、住んでいる地域が条件に含まれていない |
こどもエコすまい支援事業は若者夫婦・子育て世帯が省エネ性能の高い新築住宅を取得する場合は100万円、すべての世帯が省エネ性能の高いリフォーム工事を行う場合は5万円~30万円の補助金が支給されます。
補助金額や工事の条件は複雑ですが、さまざまなリフォーム工事で補助金がでることが魅力です。
給湯省エネ事業はすべての世帯が省エネ性能の高い給湯器を購入した場合に補助金が支給されます。エコキュートとハイブリッド給湯器は一律5万円、エネファームは15万円です。
給湯器の補助金は、地方自治体によっては給付している場合がありますが、原則として地方自治体が管轄する地域に住んでいる方が条件になります。給湯省エネ事業は住んでいる地域を条件に含めていないので、貰える可能性が高い補助金制度です。
また、国庫を財源としていない補助金制度との併用ができます。つまり、住んでいる地域の自治体で給湯器の補助金があり、国庫を財源としていなければ、複数の給湯器補助金の併用が可能です。
光熱費の節約を考えるならエコキュートへの買い替えがおすすめ
断熱性能の高い窓や窓ガラスに交換すると住宅内の温度が変化しにくくなり、光熱費や電気代の削減が見込めます。電気代は年々上昇傾向にあるので、先進的窓リノベ事業を活用して、電気代の削減を目指してみましょう。
また、光熱費の削減を考えるなら、給湯器をガス給湯器や電気温水器からエコキュートに交換することも検討してみると良いです。
エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器で、次の表のように同じ湯量を沸かした時の年間ランニングコストが抑えられています。
エコキュート | 電気温水器 | 石油給湯機 | ガス給湯器 | |
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北海道電力エリア | 約32,400円 | 約108,000円 | 約81,600円 | 約109,200円 |
東北電力エリア | 約21,600円 | 約80,400円 | 約73,200円 | 約104,400円 |
北陸電力エリア | 約20,400円 | 約82,800円 | 約72,000円 | 約118,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約24,000円 | 約102,000円 | 約67,200円 | 約78,000円 |
中部電力エリア | 約24,000円 | 約99,600円 | 約68,400円 | 約87,600円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約86,400円 | 約64,800円 | 約81,600円 |
中国電力エリア | 約22,800円 | 約91,200円 | 約68,400円 | 約112,800円 |
四国電力エリア | 約26,400円 | 約126,000円 | 約67,200円 | 約99,600円 |
九州電力エリア | 約18,000円 | 約78,000円 | 約66,000円 | 約108,000円 |
沖縄電力エリア | 約10,800円 | 不明 | 約56,400円 | 約54,000円 |
ライフスタイルや家族の人数、エコキュートの性能によって年間ランニングコストは異なりますが、ガス給湯器や電気温水器よりもエコキュートのほうが光熱費はお得です。
本事業ではエコキュートの購入に補助金は出ませんが、給湯省エネ事業なら50,000円、こどもエコすまい支援事業なら27,000円の補助金が給付されます。
同じエコキュートの購入で補助金の併用はできません。また、金額にも違いがあるので、エコキュートを購入したい方は給湯省エネ事業を、エコキュートを含めた複数のリフォーム工事を行いたい方はこどもエコすまい支援事業を検討してみましょう。
まとめ
以上が、先進的窓リノベ事業の解説になります。先進的窓リノベ事業は断熱性能の高い窓や窓ガラスのリフォーム工事に対して、5万円~200万円の補助金を給付します。窓や窓ガラスの断熱性能が向上すれば、エアコンの使用が少なくなり、光熱費の節約につながります。
また、光熱費の節約を考えるならエコキュートに買い替えることも検討してみましょう。エコキュートはほかの給湯器に比べて年間ランニングコストが抑えられているので、光熱費の節約が期待できます。
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